【赤羽 業】ロボットの恋3

願い65 ページ15

Aside



１週間が過ぎた夜のこと



ガチャガチャと鍵が開く音が聞こえた
母？それとも父？



どちらも多忙なので帰ってくるなんて珍しい
合鍵を持っている柳沢先生かもしれない



寝室から頭だけ出す
入ってきたのは誰？



赤羽「やっぱりいるじゃん」



『…』



赤羽君？
何で…



急いで寝室のドアを閉める
が力付くで開けられた



後退りする中
手首をガシッと掴まれる



赤羽「逃げないで」



ぶんぶん横に顔を振る
とにかく顔を見せたくないので俯いた



手を引かれて彼の腕の中へ
もう逃げ場がない



だんだん混乱してきた
体が火照り始める



赤羽「どうして出てくれなかったの？」



私が引きこもっていた１週間
赤羽君は毎日呼び鈴を鳴らしていた



私はずっと居留守を使っていた
会いたかったけど我慢



心苦しかった




赤羽「会いたかった」



私も、と顔を縦に頷く
彼の服を掴んだ



顔を少し上げると赤羽君の唇が額に触れた
小さくリップ音が聞こえる



赤羽君にスマホを渡された
これで伝えたいことを文字にして伝えられる



ノロノロと不慣れな文字うち
暗い部屋の中、眩しい画面を彼に見せた



“私も会いたかったです”



赤羽「じゃあ何で？」



見せるなら今しかない
震える手で紐を耳から外す



覚悟を決めて市販のマスクを取った



赤羽「ｯ…」



『…』

願い66→←願い64

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す