吸血40 ページ15
カルマside
赤羽「お母さんの服、貰ったら？」
クローゼットに丁寧に収納されている服
捨てるのも勿体ないし
何よりAは
自分の服というものを持っていない
今日だって俺の服を貸している
女性なら女性らしい格好をすべきだと思う
『はい。でも、入りますか？写真で見る限り
お母さんスタイル良さそうでしたし』
赤羽「今着てみたら？
着替え手伝ってあげるよ」
『１人で着替えます』
Aが手に取ったのは
俺がプレゼントした大人っぽいワンピース
部屋を出てどこかに着替えに行った
あの人が寝ていたベッドに寝転がる
少し埃が舞った
あぁ……ヤバい
かすかに大好きだった匂いがする
目を閉じれば 深い水の中にいる感覚
細い筋から視える光
愛していたあの人
“カルマさん、どうしたの？
疲れた顔してる”
幻覚とわかっていながら
抱き締めて閉じ込める
どこにも逃がさない
どこにも行かないで
“カルマさん、好きよ”
赤羽「俺も好きだよ。_____」
自然に口から出たあの人の名前
時を忘れ、自分を忘れ
幻覚に甘えていた
ドアが開かれてあの子が入ってくる
固まって立っているところを俺が引きずり込んだ
あの人に似ている顔立ち
着ている服が同じだったから
どうしてもあの人に見えて仕方がない
また会えたと思って嬉しくて
完全に我を忘れていた
赤羽「ねぇ、また…吸血してもいい？」
…言ってしまった
でもこの頃の俺は まだ気付いていない
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作者名：眺花
| 作成日時：2017年1月28日 19時
