赤羽「刺激的な毎日を送ってやるよ」6

記憶147 ページ23

Aside


私は生と死の間をさ迷っていた
あの事故から私の意識が戻ったのは３ヶ月後


クリスマスの日


意識が戻った時 医師は
「サンタクロースからのプレゼントかもね」


と言っていた
あの頃の私は状況について行けなかった


目が覚めると３ヶ月が過ぎていて
回りにいるのは知らない人達


英語は苦手なので何を
喋っているか全くわからなかった


色々なストレスや恐怖心で
私の精神状態は不安定で病んでいた


会話が成り立たないと思い何も
喋らなかったら失語症と疑われた


窓に映る自分の顔
どれだけ傷があるか嫌でもわかった


生きる価値がわからなかった


そんな自分に光がやって来た
その光とはカルマからの手紙だった


週に１通だけの手紙
中に書いてあるのはいつも１文だけ


「元気？」


「大丈夫？」


「会いたい」


１文だけでもカルマの気持ちが
充分に伝わってきた


私も手紙を送りたいが
毎日の検査で時間が無かった


そのまま５年が過ぎた
手紙は山のようにたまった


色々な事を考えながら日本に行く
最初に何を言えばいいか


どんな顔で会えばいいか
左目の事をどう伝えればいいのか


カルマが過去に言っていた
言葉を思い出した


赤羽「刺激的な毎日を送ってあげる」


私は再会の時にその言葉を
言おうと決めた


雪の降る日


歩道橋の上で大好きな彼の姿が見えた
私は５年前に戻った気分で声をかけた


『刺激的な毎日を送ってあげる』

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