Yellow Geranium V ページ9
真剣そうな顔で言われ、思わずツッコミをいれてしまう。
いや本当に言って良いことなのだろうか。
｢まぁ、それなりに平和やし、遊びに来るぐらいならええと思うよ｣
｢そうですね……この国は見てて飽きないですし｣
｢見てて飽きない？｣
｢ええ、入国する前からずっと、楽しくて仕方ないんです……この路地裏とか、見てて面白いですね｣
ぐるりと路地裏を見渡してクスリと笑う。何年経っても元々の癖が抜けないのは、私の悪い癖である。それはそれで楽しいから良いが。
｢……なんでそう思うたん？｣
｢ここに入ると、門の方へ行くようにされてるじゃないですか。城の方へは行かずに｣
そういえばその人は驚いたように息を飲んだ。
まぁ、突然そんなこと言われれば、この国にいる者なら誰でもそうなるだろう。路地裏の設計なんて、住んでいる国民ですら気が付かないというのに。
｢オマケに、戦車が通れるほど広くて、城へと向かうちゃんとした道ってこの表通りいれて7つのみでしょう。ちゃんと攻められた時のこと考えて作られて、凄いなぁって｣
ちらりと眼鏡の奥の瞳を見れば警戒したような表情をされ、またやってしまったと気がつく。毎回こうなのだ。
住む上で重要だと思っている、敵に攻められた時の国の対策を調べていると怪しまれてしまい。スパイとして国を追い出されることがほとんどである。
本当に昔からの悪い癖だ。
｢……この甘ったるい匂いさえなければ、永住してもいいと思ったんだけどなぁって！んじゃあそういうことで……｣
……怪しまれるようなことを言いすぎた気がする。まだ1日目なのに、追い出されるのは嫌だ。
なんとか逃げ出そうと、さっと横を通って通りに行こうとすれば待って、と止められる。
｢名前、聞いてもええ？｣
｢……Aです｣
｢そ。Aちゃんさ、本当にただの辛いもの好きな旅人？｣
綺麗に整った顔にそう問われ、一瞬戸惑う。が、
｢──ええ、ただの辛いもの好きな旅人です。少し喧嘩が得意な、ね｣
結局何時も通り答え、背を向ける。
もう二度と合わないようにと、なんて願いながら。私は人混みに紛れ消えた。
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菜っ葉(プロフ) - トキさん» こんにちは！読んで頂きありがとうございます((*_ _) 非公開か削除にしようと考えていましたが、有り難いことにここ数日で多くの方に読んで頂いておりまして、今はパスワードを設定することも考えています！詳しくはまた後日小説内にてお知らせしますので、何卒…！ (2020年11月24日 17時) (
レス) id: b9fbe2e237 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - こんにちは！楽しく読ませてもらってます。非公開or削除との事ですが、パス設定ではダメなんですか？ (2020年11月24日 17時) (レス) id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
菜っ葉(プロフ) - カイロさん» ひえ…好きだなんて…こちらこそありがとうございます…！！！頑張ります…本当にありがとうございます… (2020年4月22日 23時) (レス) id: b9fbe2e237 (このIDを非表示/違反報告)
カイロ(プロフ) - あああ…好きですありがとうございます…。更新頑張ってください! (2020年4月18日 16時) (レス) id: 5eb6f41ac2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜っ葉 | 作成日時：2020年3月10日 3時
