エピソード8 ページ9
＊ ＊ ＊
「『悪魔との契約』や『魔女の秘薬』のようなオカルトはおとぎ話の中だけのものだ。
お望みなら後で中央の図書館にでも行くといい。前時代からの創作物がごまんとある。」
「あ、ちょっと行きたい……」
隣でぼそりと呟いた小さな少女に呆れた目を向ける。
どうやら本が好きらしい、その目は心なしかキラキラしているように見えた。
「あ、すいません。えっと、ユウナさんはそちらの人と、知り合い、なんですか？」
「そうそう、幼馴染っていうか……。久しぶりに会ったらだいぶ雰囲気変わってたけど」
「わ〜！ アユラです、よろしくね。ユウちゃんの友だち？」
「あ、はいイチカです、よろしくお願いします」
そう、私以外の女子二人が初対面挨拶を交わしている時だった。
ふと向こうの方から人影が近づいてくることに気づき私は一歩下がる。
深い森の陰に染めたような、静かな深緑を更に暗くしたような、落ち着いた髪色の青年。
少し長めの前髪と眼鏡がどこか自信のなさを感じさせる。
けれどその表情は呆れ顔としか言えないものだった。
「リヒト、なに談笑してるんですか？ 遅いから先生がすねてます」
「別に僕は話してない。そこの女子達が勝手に……」
「何子供みたいな言い訳してんのお前。
つかさっきから全然『案内役』してねぇじゃん。怒られるぞ〜」
二人の青年に次々文句を言われたリヒトくんがチッと舌打ちをし、手を氷の結晶からパッと離す。
途端その華が音をたてながら霧へ変わってゆく。
音に気づき、他の二人の女子がリヒトの方を向いた。
二人がいつの間にか増えていた青年に驚くことも気にせず、リヒトくんはやわらかく、笑みを作る。
……私が目を覚ました時真っ先に目にした、綺麗な笑みだった。
「『改めて、ようこそ100年後の世界へ。この先が僕達の目的地だ。
ぜひ喜んでほしい。100年前から来た君達を、この都市は歓迎しているからね』
……まぁ僕は歓迎してないけど」
「ねぇちょっと今なんか最後に」
「とにかく。まずは学園内に入りませんか？
先生が『新入生たち』を待ってます。
俺の名前はソウシ。
彼、リヒトの幼馴染で、このアイオライト学園に所属しています。
……100年後の都市『アルストロメリア』へようこそ。
俺たちは貴女たちを、歓迎します」
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富岡圭(プロフ) - なのはなさん» ありがとうございます！後日、完成したら報告します (2017年12月30日 9時) (
レス) id: b8b84b74c1 (このIDを非表示/違反報告)
なのはな(プロフ) - 富岡圭さん» コメントありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。 (2017年12月30日 9時) (レス) id: fffa902895 (このIDを非表示/違反報告)
富岡圭 - 週刊ＤＲＥＡＭという雑誌の企画で「2017作品まとめ」で紹介したいんですがよろしいでしょうか？ (2017年12月29日 23時) (レス) id: b8b84b74c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なのはな | 作成日時：2017年12月3日 21時
