番外編続き ページ37
ー相澤sideー
天地を起こしに行ってから30分程。
準備が整い、神社へ向かうことにした。
貴「覚悟はしてましたけど、やっぱり寒いですね。」
相「そうだな。」
外出許可証を鞄にしまいながら天地の隣を歩く。
最後にこうして並んで歩いたのはいつだろうか。
すぐには思い出せないくらい、久しぶりだ。
天地がクラスメイトに心を開いてから、
俺と話す頻度はかなり落ちた。
…まぁ、叱ったり、話を聞いたりすることが減ったからだが。
入学早々屋上でサボったり、
クラスメイトを突き放すような言動をしたり。
天地自身が自分と周りを隔てていたあの頃を思えば、
成長したんだなぁと感じてしまう。
毎日授業に出るようになって(時々寝てるけど)、
自分からクラスメイトに声をかけれるようになって。
特に上鳴や瀬呂と仲がいいらしく、
時々休みの日でも遊ぶようになったのだとか。
楽しいこと、悲しいこと、なんでもないようなこと。
少しづつクラスメイトと話す頻度が増えていった。
そんな姿に安堵した反面、
少し寂しくも思ってしまう。
…全く、合理的じゃない。
天地は俺の物じゃない、ただの生徒だ。
だから俺から離れようが、誰かに近づこうが関係ない。
そう考えているはずなんだが…。
どうやらそうもいかないらしい。
今自分の隣を歩いている幼い青年に、
もっと頼られたい。
…ちょっと違うか。
でも言語化できないからこういう事にしておこう。
言葉では言い表せない何かが思考を邪魔してくる。
いつもなら非合理だと捨ててしまうが、
…これは、きっと捨ててはいけない。
だから今は知らないフリをしておこう。
貴「…あ、ここ、ですか？」
相「そうだよ。」
貴「思ってたより混んでる…」
ほんの少しだけ、天地の眉が下がる。
そういえば人混みは苦手だったか。
相「山田が来るまで人が少ない所に居ようか。」
貴「！はい。」
少し離れたベンチに腰掛けて山田を待つ。
貴「…あの、」
相「どうした？」
貴「…ちょ、ちょっとだけでいいので、手、あたためて貰えませんか。
冷えすぎて、痛くて。」
相「！！…いいよ。」
そっと天地の手に自分の手を重ねる。
冷えきったその手があたたまるまで、色んな話をしよう。
…昔の天地なら、お願いなんてせずに手を重ねて来たんだろうな、なんて思いながら。
･
･
･
貴「…あっ」
相「どうした？」
貴「紅白見るの忘れてた…！！」
相「今かよ」
＊
あけましておめでとうございます。
続く
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ただの死神（大噓） - 面白すぎる…！こんな神作品をありがとうございます…！ﾊﾊｰｯ (2022年7月2日 7時) (
レス) @page30 id: dc8ec99537 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 面白くて一気に読んでしまいました。更新楽しみにしてます！ (2022年2月4日 23時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
wolf(プロフ) - ぽ?さん» ありがとうございますm(_ _)m✨なるべく更新できるように頑張ります！ (2021年11月3日 21時) (レス) id: 82c45eb9bd (このIDを非表示/違反報告)
ぽ? - 失礼します！すごく面白くて、三周してきました!これからも、更新頑張ってください!失礼しました! (2021年10月31日 18時) (レス) @page29 id: f2e7fed4cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wolf | 作成日時：2021年4月10日 20時
