141話 ページ14
ーレントsideー
トガさんと二言三言話したあと、
蒸しタオルと少量の食事を持ってB-02へ戻った。
今は朝で、リクさんは寝たばかりなので少しくらい優遇しても怒られない。
僅かにドアが軋み、開く。
部屋には2人分の気配がした。
が、すぐに1人……天地さんの気配だけになった。
嗚呼、あの方が見てくださってたんだ。
そう思い、少し頭を下げてから部屋に入る。
部屋の中では、天地さんが荒い寝息を立てて眠っていた。
一旦食事をベッド脇の棚に置き、蒸しタオルを手に取る。
天地さんの上半身を抱き上げて、彼の身体を少しずつ拭いていく。
……そこで、あることに気付いた。
彼の腕、首、足に注射のような跡がある。
注射の跡なんてものはすぐに治るし、予防注射のが残っているとかそういう訳では無さそうだ。
そっと触ると、穴が空いている感触があった。
貴「ん……」
抱えていた彼の身体が突然ビクッと反応し、
目を覚ました。
貴「レント……だよ、な？」
レ「ええ、僕です。どうしました？
……あ、タオル冷たかったですか？」
貴「あ、ううん……大丈夫……
……気に、しないで……」
先程より明らかに小さくなった声。
僕のパーカーをぎゅっと掴み、震えている。
もしかして、注射跡を触ったからだろうか。
痛かったのかな。
貴「ねぇ、レント。」
レ「どうしました？」
貴「手、貸して……？お願い。｣
手？何に使うつもりだろう。
警戒した方が良いだろうか。
そう思ったが、僕の腕の中で震えている彼を見ると、何故か警戒心は無くなってしまった。
レ「……はい。」
彼に右手を差し出す。
貴「ありがと。」
そう言い、彼は僕の手を掴んだかと思うと
突然僕の指を口に含んだ。
レ「へっ！？ちょ、何してるんですか！汚いですよ！？」
そう言っても、彼は辞めない。
無理やり振り払っても良かったのだけれど、
僕の指にしゃぶりつく彼が、子犬というか、赤子と言うか……
そんな感じに見えて、振り払えなかった。
･
･
･
あれから時間が経ち、リクさんが入ってきた。
その時にはもう天地さんは離れてくれていたし、
離れる時に「ごめん」って言ってたから、多分リクさんが来るのが分かっていたんだろうな。
僕は退室するように言われたので、
彼の上着と少し減った食事とタオルを持って部屋を出た。
扉を閉める時、天地さんが辛そうな顔をしていたのを覚えている。
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ただの死神（大噓） - 面白すぎる…！こんな神作品をありがとうございます…！ﾊﾊｰｯ (2022年7月2日 7時) (
レス) @page30 id: dc8ec99537 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 面白くて一気に読んでしまいました。更新楽しみにしてます！ (2022年2月4日 23時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
wolf(プロフ) - ぽ?さん» ありがとうございますm(_ _)m✨なるべく更新できるように頑張ります！ (2021年11月3日 21時) (レス) id: 82c45eb9bd (このIDを非表示/違反報告)
ぽ? - 失礼します！すごく面白くて、三周してきました!これからも、更新頑張ってください!失礼しました! (2021年10月31日 18時) (レス) @page29 id: f2e7fed4cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wolf | 作成日時：2021年4月10日 20時
