銀魂さくらさくら (ページ43)

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目は口ほどに物を言うページ43

土方side

ざわめきが広がった。
女がここにいるだけで異質だというのに、こいつは在ろう事か、隊士の面接を受けに来たとぬかしやがる。

誰もが呆気にとられる間、Aはヒョイと椅子に腰掛け、首を傾けた。

「…もしかして、面接会場間違ってたりする？一次面接から受けに来たんだけど？」

近「いや一次も何も無いから。間違ってないから。いやその、ただなぁ…」

「ん？なんだい保険所から逃げ出したゴリラみたいな顔してよう。」

近「保健所から逃げ出したゴリラって何！？それもう野生じゃん！ゴリラじゃん！！
…いやそうじゃなくてだな、お前さんは女、だろう？ウチは一応女人禁制だし、女性隊士はいないからなぁ…」

近藤さんが渋るようにそう言うと、Aは不満げに口を尖らせた。

「ええーー…女はダメなのか？男尊女卑はもう古いぜ。世の中は男女平等を叫んでるんだからな。大丈夫だよ、ゴリラですら局長になれる時代だよ？」

沖「そこまで言うなら試してみやすかぃ？」

土「総悟！」

扉にもたれかかる様にして傍観していた総悟が唐突に声をあげた。
気怠げな足取りでAに近づき、見下ろす様にして言い放つ。
その目は何か面白いものを見つけた時のーーーいわば、ドSのスイッチが入りかけの、俺が1番苦手とする時の腹黒さ満載の、顔だった。

土「お、おい総悟…」

沖「とどのつまり、女に真選組の仕事が務まるとは思えねえって話でさぁ。そんな細腕で、浪士どもと斬り合えるってんなら」

ーーーーー真っ黒な、笑顔が浮かんだ。

沖「俺に勝って、証明してみなせぇ。」

Aも総悟もお互いを見つめあったまま動かない。このままでは確実に面倒なことになると、近藤さんが我に帰り、慌てて総悟を止めようと一歩を踏み出す。

しかし不意に「いいよ」と、異様に軽い声が響いた。

Aはヨッと立ち上がり、総悟を見上げ鋭く睨みつけた。口元には笑みを浮かべたまま。

「…女に剣技が務まらないと言うのなら、証明してみせようじゃないか。一手ご教授願えるかい？一番隊隊長、沖田総悟殿。」

沖「はっ、上等だ。安心しなせぇ、殺しゃしやせんよ。」

「警察の吐くセリフじゃないねぇ」

物々しい雰囲気の中カラカラと。
Aは変わらず笑っていた。
その笑みに、何処ぞの白髪野郎が少しだけ、重なって見えた気がした。

…ところでわかったのは、ただ一つ。
また余計な仕事が増えやがったってことだけだ。