銀魂さくらさくら (ページ33)

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ジャンケンって絶対出す手決まってる奴いるよねページ33

土方side

結果、俺が負けた。
見かけるのすら癪な看板の下で、「おら、ココだよ」と言うとAは「ほええ…」とアホの様に口を開けていた。

「いやはや助かった。ええと」

土「…土方だ。土方十四郎。」

「土方さん。恩にきるよ。ありがとう。いずれ落ち着いたらお礼に行かせてもらうよ。それにしてもあんたジャンケン弱いんだねぇ。」

土「うるせーんだよ。
…そんな気ぃ回さなくてもいいさ。これも一応俺らの仕事なんでな。」

「その仕事に対する俺なりの対価でありお礼さ。甘いものと辛いもの、どちらがお好みだい？」

顔に似合わず随分老けた喋り方する奴だな…
総悟の江戸っ子口調と似てもいるが、なんだかちぐはぐで…おかしな奴だな。

俺の考えなど露知らず、頭一つぶん下で相も変わらずニコニコ笑うAに、ふっと表情が緩む。
こいつと知り合ったのはほんの数分前だというのに、どうやらこいつは人の懐に入り込むのが上手いらしい。

思わずポンと、頭に手を置く。
Aは少し驚いた様な顔をしたが、すぐにまた柔らかな笑みが顔に広がった。

…何だか猫を相手にしてる気分だ。

土「そうかい。んじゃ、どっちも頼むぜ。」

「ふはっ、あんたも正直だね。わかったよ。ああ、そういえば、もう1人の色男さんは名前なんていうんだ？あの、栗毛のさ。」

土「ああ、総悟の事か。あいつァ沖田総悟だ。超がつくドSだから、近寄らん方がいい。」

「あははッ、大丈夫さ。そういうのの扱いは慣れてんだ」

それじゃあ有難う。またな。と。
Aはひらひらと手を振って、階段をカンカン登っていく。
心なしかピョコピョコと跳ねるその背中を暫く見つめてから、俺もくるりと踵を返す。
茜に染まる街並みを、いつもよりいくらかゆったり歩きながら、出会った少女の笑顔をふと思い返す。

土「…桜守、か……」

桜に守られた、女、ねェ。
桜に護られるなんて柄じゃなく、むしろ護る側の方が似合うだろうと想像して、少しだけ笑みが溢れた。

土「ククッ、面白ェ奴。」