【東海オンエア】きっと明日の夢は見ない

ep.4 宝物 ページ5

Aと一緒にいる時間は毎日が楽しくて大切で、まるで宝物のようだった。





付き合って初めてのAの誕生日。
どうしてもAの喜んだ顔が見たくて、シフトを無理矢理ねじ込んでもらって、３ヶ月間頑張って貯めたお金で買ったペアリング。





柄にも無くお互いのイニシャルの刻印なんか掘ってもらったりして。




けど、本当にこれでいいのか、初めての誕生日にペアリングって重すぎないか、とかめちゃくちゃ悩んで、渡す直前まで不安だった。





でも、指輪を見たときのAの嬉しそうな顔を見た瞬間、不安も、バイトの疲れも全部全部、吹き飛んだ。




「ありがとう。一生大切にする」




うっすらと目に涙を浮かべてAが言った。




「お、大袈裟すぎ。そんなん安物やし、無理に付けんでもいいよ」




何だか照れ臭くなった俺は、思わず強がってしまう。
本当は喜んでくれて嬉しいし、毎日付けてほしいし、めちゃくちゃ大切にしてほしい。





「安物でも何でもいい、てっちゃんがあたしのために選んでくれたことが嬉しいの。宝物だよ。」





そう言って泣きながら俺に抱きついてきたAが、本当に愛おしくてたまらなくて。





俺にとっての宝物はAだよ。





そう口に出そうとしたけど、小っ恥ずかしくなったから、代わりにAのことを思いっきり抱きしめた。

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