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扉を開けるには一瞬、相手に背中を向けなければならない。ましてや、私とドアの距離はゼロ。相手に一歩近づくのだ。一気に距離は詰めてこない。
資料によると、スピードのパラメータはそこまで高くなかったが、パワーはここにいるアブノーマル随一の数値だった。捕まれば二度と離されることはない。こういう時こそ、冷静をかかず慎重に考えるべきだ。
私の特技は、話すこと。会話で注意が散漫になった時を見計らって脱出するしかない。方法は、これ一つ。そろそろ、応援が来る。それまで時間を持たせれば、最悪の事態は免れるはずだ。
『はじめまして、私はラブ。これはあだ名みたいなもので、』
「あー、俺そういうの大丈夫だよ。人間あんま興味無いから」
『興味がなくても、少し話さないかしら。なんでもいいわ、今日は作業しに来たから』
「ふーん、ごめん。でもほんとそういうのいいかな」
私の喉元を掴みながらちょっと遠慮したように笑う姿は、かつての友人だった。
『ル、ルア、、?』
「あ、もしかして友達だった、の?」
『ルア、ルア、』
相手が変身したアブノーマルということを忘れ、自ら彼女に抱きついた。アブノーマルの暴走で葬られたルア。生前はよく、ご飯に行って恋バナ、仕事の愚痴、普通の友人として過ごしていた。最期に立ち会えず、1週間ほど抜け殻だった頃を思い出す。苦しく息も吸えなかったが、徐々に気道が確保され上手にえずけるようになる。
「あ、あ、Aちゃ、」
SN「A!!!」
通報を聞き付けたスニョンが防具姿で現れ、私とルアを引き離した。ルアの姿がどんどんとけていき、元の姿に戻っていくのをぼうっと眺めていると、スニョンに抱えられた。
CN「スニョンイヒョン!Aヌナは!?」
SN「俺が連れてくから、チャニはそいつを頼む」
CN「分かった、」
3つ下のチャンが、ドロドロになっていくカレに電子手錠をかけた。
『スニョン、スニョン』
SN「どうした!?」
『私、大丈夫だから。何もされてないから。ルアに会っただけだから』
SN「あいつは、ルアじゃない。アブノーマルだ。惑わされるな」
『でも、ルアにやっと会えたの!』
SN「、来るの遅れてごめんな。直ぐにフィリックスの所連れてくからな」
スニョンの辛そうな顔を見て正気を取り戻した。彼も以前、同僚を無くし、我を失い暴走したことがあるからだ。昔の自分と私が重なってできた表情と思うと私は口を噤むしか無かった。
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なの(プロフ) - はりねずみさん» そう言っていただけると大変嬉しいです😭頑張って進めていきます、、、! (1月6日 22時) (レス) id: c8ce101485 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 苺みるくラテさん» ありがとうございます!なるはやでお届けします! (1月6日 22時) (レス) id: c8ce101485 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - ホッキさん» ありがとうございます😭方向性を正すためにいろいろ書き直している途中です、、少しずつですが確実に進めていきますので、気長にお待ちいただけると幸いです🙇♀️ (1月6日 22時) (レス) id: c8ce101485 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ - 完成度がとても高くて面白いです!更新楽しみにしてます! (12月26日 8時) (レス) @page50 id: 28eacc8e59 (このIDを非表示/違反報告)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月18日 1時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっちぃ | 作成日時:2023年7月19日 19時