壊れた百合は今日も笑う ２

16-side.SG- ページ16

それから、沈黙。





「………………」






明らかに、何かあったっぽいけど


必要以上に聞かなかった。








「………………………。」








ただ黙って、お互い飲み物を飲みながら窓から外を見る。









それから暫くして、沈黙を破ったのは向こうからだった。





「………貴女にとって音楽って、何？」




「はぁ？」





突拍子も無いその質問に、俺は首をかしげる。








「……なんだよ、哲学的な事か？」



「いや、貴女に哲学求めてないから大丈夫よ。直感で答えてみて」



「あ？」






なんか馬鹿にされた気がしないでも無かったが、俺はそのまま考えた。








「……んーー……」




「普通アイドルなら、応援してくれてるファンへの贈り物です。くらい言うと思うんだけど」




「んー……てかファンの為っつか俺の為？」




「え？」





キョトンとされた。

いや、直感で答えたぞ俺は。









「…俺がやりたいからラップやってる。俺がやりたいから曲作ってる。」








うん、だってこの道を歩き始めたきっかけなんて









「俺は好きだから。…好きだから音楽やってる。それだけだけど？」





「…………………」









「ま、そんで俺が楽しんで作った音楽聞いて、ファンが楽しいって思ってくれたなら一層嬉しい。

……まあ、楽しませる以前に俺が楽しくなきゃ意味無いってことだな。


オイ、聞いてんの？」








ボーッとした様にこちらを見つめるから、顔の前で思いっきり手を振る。







「なんか反応しろよ。恥ずいんだけど」




「あ、ああ…そうね。…」






すると、そいつはまた少し黙って






「とっても、参考になったわ」







そう言って、まっすぐこっちを見た。

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