58話-side.SC- ページ9
モニター越しのメンバーは、まるでいつもと別人みたいだった。
不自然な笑顔にポージング。
緊張しているのが見て取れた。
「はあ…」
俺は1人、カフェのトイレで手を洗いながら鏡の中の自分をみた。
カメラの練習は今までしてこなかったからな…
動画とはまた違う、デカいシャッター音がスタジオ中に響くたびに固まっていく表情。
今まで何回か公演はしていたから緊張には強いとばかり思っていたが、これには通用しなかったらしい。
普段から練習するべきか…？
いや、今はそんな事をしている暇なんてない。
１つ目のミッションと２つ目のミッション、それを行われる日はこちらには伝えられていない。
おそらく、またこの間みたいに当日に言われるパターンだろう。
つまり明日かもしれないし明後日かもしれない。
「とにかく、急がないと…」
多分、Aも今日の撮影で何か感じてるはずだ。
それを聞いて、今後の撮影に対する対策を練る為の参考にしよう。
とりあえず、今はミッション成功の為に急がないといけない。
帰ったら、全員でミーティングをしないと。
ただただ、焦りと不安が募っていく。
「……俺が、こんな事言ってる場合じゃない。」
この不安や焦りをなくすには練習をするしかない。
練習をして、自分に自信を付けるんだ。
今までだって何度もそうしてきたんだから
今回だって出来る、
そう、自分に言い聞かせた。
「わり、遅くなった。」
「あ、ヒョンやっときた！注文しといたよー」
「そっか、サンキュな」
俺はそのまま席に座った。
すると、目の前に座るAが少し姿勢を正して
「それで、わざわざ俺を連れてきたのは何の御用あってでしょうか？ヒョン？」
「…まあ、わかってるとは思うけど」
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作者名：なすたろ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chamiko2182/
作成日時：2017年9月11日 13時
