及川徹が彼女を作らない理由【及川徹】 (ページ33)

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主side

大好きだったおばあちゃんがよく言ってたこと。

｢運命の人はね、自分と正反対の人に惹かれ合うの。まるで磁石みたいにね。｣

おばあちゃん曰く、｢自分に無いものを相手が持っているから自分に足りないところを相手が埋めてくれるらしいからだ。｣と言っていた。

磁石というものを知ったのは小3の理科。

N極ならS極、S極ならN極、自分と異なる極は引き合うもの。

そう習った。

そうか、おばあちゃんが言ってることはこの事かと思った。

※

｢杉山ってさ、なんかやる気ないよな｣

｢わかる、手を抜いてる感じ｣

小学のクラブチーム、私はテニスを選択した。
たまたま聞こえた仲間たちからの声。

別に手を抜こうなんて思ったことは無い。

でも、そう思っても仲間たちにはそう見えてたのか、、。

そう思うとなんだかめんどくさくなった。
真面目にやることも、毎日参加することも。

この時から中学は部活を入るのはやめておこうと思った。

きっとやってもこんなこと言われるし、理解してくれる人もいないだろう。

それに、一途に頑張れるか分からない。

中学に上がり、私は図書委員になった。
図書委員は当番があってその当番日は部活が終わる時間まで残らなければ行けなかった。

部活が終わる時間になってもまだ練習をしている部活はいくつかあった。

私はのんびりと帰っているとある体育館から話し声とボールの音が聞こえた。

気づかれないようにそっと見るとそこには及川さんとセンター分けの男子が練習をしていた。

及川さん。

私はこの人の事最初は好きではなかった。

なんかしつこく話しかけてくるし、めんどくさいし。

及川｢いま手抜いたよね｣

国見｢え、｣

及川さんはセンター分けの男子を指さしてそう言った。

その光景を見て、自分もそう言われたことを思い出した。

きっと及川さんはその男子のことを怒るだろう。
ちゃんとやれって。

でも、及川さんがその男子に言った言葉は私の予想とは違った。

及川｢まあ別にいいけどね、でも上手くした方がいいよね～、岩ちゃん怒るから｣

国見｢う、｣

及川｢で、後半にはビシバシこき使うからね！！｣

驚いた、、、及川さんは怒らなかった。
逆にその男子のことを肯定して、彼のことを理解していた。

その光景を見て私は笑った。

及川さんは、凄い人だと思った。