32話 ページ39
私はどう走ってきたのやら。恐らく、裏庭の小屋にいた。和泉守と。
「・・・おい。なにか言い訳はあるか」
「イ・・・イエ、特になにもゴザイマセン」
私は正座をしていた。和泉守の服を掴んでいたようで勢いよく走り出した私は布団からすっぽ抜けた和泉守をそのまま引きずってきたようだ。当然、服も髪も乱れて激オコの和泉守が目の前にいた。
「さっき、なんで三日月さんを投げ飛ばしたんだよ」
「・・・っあ、あれは・・・!」
私は咄嗟に顔を上げてしまう。目の前には和泉守の顔。薄暗いとはいえ朝日が木漏れ日の隙間から小屋の窓にも入ってきている。私はまた俯く。そんな私の様子にイライラしたのか和泉守が「おい!なんでそこでダンマリなんだよ!俺らを信用させるんじゃなかったのか!」と声を荒げてきた。
どうする。話すべきか。イケメンが苦手なんだと。でも、話せばきっと和泉守は他の刀剣男子達にも話すだろう。私のことをもう信用してはくれないだろう。そうなれば、私は審神者を辞めなければならなくなる。
嫌だ。
「わざとでは・・・ないのです」
「はぁ?だったらなんだっていうんだよ」
「その、咄嗟に・・・というか」
和泉守は私の言い訳に納得するでもなく、私の胸倉をつかみ引き寄せる。
「おい!!そんなワケないってのは俺だってわかるぞ!誤魔化すんじゃねぇよ!」
「・・・」
「お前結局俺達を信用させる、とか言いながら自分が俺達を信用してないんだろ!」
「そんなワケないでしょう!!!!!」
和泉守の放った言葉に思わず私も声を荒げる。和泉守の瞳を真っ直ぐに見つめる。
「私は・・・イケメンが苦手なだけなんです!!!!!!!!!」
「・・・は?」
「・・・あ」
しまったああああああああああああああああああああああああああああ話してしもうたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
和泉守は呆けたような顔をしている。
「イケメンって・・・顔が綺麗なヤツのことだろ・・・」
和泉守は信じられない、といった顔で再び私を見る。
「お前・・・なんで審神者になったんだ」
「話すと、少し、長いです」
「・・・話せよ」
それから私は和泉守に審神者になった経緯を話した。和泉守は真剣な顔で聞いてくれた。
「・・・て、ことです」
「・・・理解した。いいぜ、隠しておいてやるよ」
「!」
「ただし!」
和泉守は私を見るとその条件を突きつけてきた。
何を言うつもり?
453人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せかこ@受験の為、更新ができません(プロフ) - 水音さん» 水音さんありがとうございます!ぜひ見に行きますね! (2015年12月21日 21時) (レス) id: bc5ff5c6fe (このIDを非表示/違反報告)
水音 - お話、拝見させていただきました。とても面白いです。私も艦これと刀剣のクロスオーバーの作品を書いているのですが、よろしければ一度ご覧になって下さい。 (2015年12月15日 16時) (レス) id: d11f4ca11c (このIDを非表示/違反報告)
恋華(プロフ) - 彩さん» 殴りかけて殴ってないならセーフですよ!加州可愛いですよね!本当初期刀なので一番思い入れが深くて毎日愛してます\(^o^)/ (2015年6月11日 22時) (レス) id: 13a37af7db (このIDを非表示/違反報告)
彩 - ちょっとこれ読んでて、兼さん殴りかけたわがいとしの加州君を泣かせやがって!ってねwwwww (2015年6月10日 18時) (レス) id: 6480b7d8c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋華(プロフ) - へちまさん» コメントありがとうございます。ウチの本丸の和泉守はツンデレ属性で突拍子もないことを言って堀川がいないと駄目な刀ですっ!じじいもどんどん出しますよ! (2015年5月5日 19時) (レス) id: 13a37af7db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:恋華
作成日時:2015年4月13日 22時