救ってくれたのは君でした。

♯９ ページ10

七瀬Side

母「七瀬。あなたはお姉ちゃんなんだから茉奈のことちゃんと守らなきゃだめよ？本当に困ったときは健人君と風磨君に頼りなさい。」

昔茉奈はかわいくて性格も明るくてと女子からも男子からも人気があった。それに比べて私は性格が暗くていつもいじめられていた。私がお姉ちゃんなのに。私が守らなきゃいけないのに。
茉奈はいつも守ってくれた。

―――――ある日突然茉奈は麻衣にいじめられ始めた。

健人や風磨は一生懸命茉奈のことをかばっていた。私は風磨のことが好きだった。でも風磨は茉奈のことが好きだったんだ。

ふいに幼いながらにこんなことが頭をよぎった。

――茉奈なんていじめられればいいんだ。――

そうだ、茉奈なんていじめられればいい。妹のくせに。

だんだん茉奈から笑顔が消えた。

その矢先だった。



茉奈のことを唯一見捨てなかった親友橋本奈々未が死んだのは。

正直茉奈のことをかわいそうだとは思わなかった。だって茉奈のせいだから。そう思っていたから。

そこから茉奈の記憶は消えた。奈々未のことは覚えているようだが麻衣にいじめられていることや私が姉だということも覚えていない。

玲香「なな？」

今までぼーっとしていた。

七「・・・あ！うん。」

麻衣「・・・まさか・・茉奈のことがかわいそうだとは思ってないよね？」

そんなこと思うわけがない。でも少し罪悪感がある。

あのとき私が茉奈のことをまもっていれば奈々未のことを守れたのだろうか？

そういう考えがときどき頭をよぎるのだ。

♯10→←♯８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す