何万回だって、「君が好き」２

誤解。１ ページ5

赤side


チーフマネに出された写真に絶句。

映画の撮影の合間に時間空いて、
共演者のみんなでラーメン食べに行ってん。

店を出た時に、
ヒールでつまづいたらしい斎藤さんが、
よろけて、俺の腕に掴まってきてさ。

そこを切り取られただけやのに。


ともの前で出すんだけはやめて欲しかったわ。

とも、思いっきり誤解してた。

泣きそうな顔して、楽屋出てってもうたもん。


そっから二人きりなる機会なんかなくて。

何回かラインしてみたけど無視されたし。


その翌日は、俺、大阪でレギュラー番組の収録で。


今日は、
ともが唐揚げ作ってくれるって約束してるねんけど。


全然返信ないまんま、時間だけが過ぎてって、
さすがの俺も不安になってきた。


もしかせんでも、
めちゃめちゃ怒ってんの？


とも、
いつも冷静そうに見えて、
案外やきもち妬きなんかな。

可愛ええとこあるよな。


撮影終わりに、


神山智洋雑誌の撮影長引いてるねん。
ごめん。唐揚げ明日でもええ?


やっと待ち侘びてたライン届いて、
ほっとして、

思わず、


「よっしゃっ！」


叫んでもうてた。


「重岡さん、どうしたんですか？
何かいいこと？」


斎藤さんが話しかけてきた。


薄々気付きかけてるねんけど、
俺、この子に好意を持たれてるっぽい？

この映画の主演の東野さんに、


「あの子、明らか、しげに気があるな」


言われた時は、
笑い飛ばしててんけど、

最近、なんかそんな気ぃしてきた。


斎藤さんとは、実は共演、これで３回目やねん。

学園ドラマっていうと、
この子、今、引っ張りだこやから。


同級生の役やってるけど、
実際は、俺より５歳も年下の二十歳やねんて。

年齢違うし、
そもそも気ぃ合いそうにないし、
話も噛み合わへんタイプ。


と、俺は思ってる。


「重岡さん、うきうきしてません？」


「・・・分かる？
待ち侘びてた連絡来てん」


「へえ。女の子？ですか？彼女とか？」


「メンバーの神山」


「仲良いんですねえ。
素敵だなあ」


「ありがとう」


とも、今日、念願のファッション誌の撮影やねんて。

お洒落大好きな、ともに、
そういう仕事来て欲しいって、

俺、実はずっと願ってたから嬉しかってんな。


「重岡さん、この後、何か用事あります？」

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