何万回だって、「君が好き」２

１３ ページ37

キス受け入れてくれたけど、
俺のこと、好きなわけちゃうんかな、って。

不安なってくるけど。


大丈夫や。


真面目な神ちゃんが、
付き合うつもりもないヤツと、
あんな事、絶対にしいひんから。

自分に言い聞かす。
　

それにしても、今朝の神ちゃんは可愛えかった。

神ちゃんの寝起きの顔ときたら、
ほんまに天使おるんか思うぐらいに可愛ええねんで？
　

「ふふ」


勝手ににやけてきて、
一人で思い出し笑いしてたら、


通路挟んで隣の席の流星にぎょっとされた。


「しげ、やばいって。
ついに壊れたん？」


「なんが？
今、幸せな気分なだけやで」


「ええけど。
気持ち悪いから、急に笑わんとって」


「あいあい」


感情の落差が激し過ぎて、
自分でも自分がよう分からへんなる。

幸せな気持ちと、
焦燥感が行ったり来たりして。


新幹線の中では、結局眠られへんかった。





　

大阪でローカルの収録して、
取材も何本か受けてから、

やっとホテルの部屋に着いた時は、
もう深夜やった。


取材の時さ、
俺は小瀧と二人やって。

神ちゃんは、流星と濱ちゃんと。

俺らシンメやから、
前はいつも俺と二人やったのにな。

最近はこの組み合わせばっかり。

仕方ない事やねんけど、
やっぱ寂しい。

神ちゃんの相方、
誰か分からへんファンの人が増えそうで。

神ちゃんは、
影におるような人とちゃうのに。


歌かってめちゃめちゃ上手いし、
ダンスもピカイチやし。

もっと世間の人に、
神ちゃんの素晴らしさを知ってもらいたいから、
ただひたすら勿体無い思う。

ただのファン目線なってるけど、

この事務所入って、
真っ先にファンになったんが、
神ちゃんやねんから、

当たり前の感情やねん。


俺らはカット多くて、
なかなか撮影終わらへんかって。

神ちゃんたちは先に上がりって。


濱ちゃんは疲れたからホテルに直帰する言うてんのに、

神ちゃんは、
流星と二人でご飯行くって話してんの、

ちらっと聞いてしもた。

胸がざわざわする。


神ちゃんと流星は、
唯一の同い年や。

それだけで、
羨ましくて吐きそう。

神ちゃんの誕生日が来たら、
束の間、同い年になれるのが、
俺の密かな幸せやねん。

１４→←１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す