何万回だって、「君が好き」２

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読もうとしたとこに、


「重岡さん、こんなとこで寄り道ですか？」


いきなり現れた、斉藤さん。


「ちょっも酔い覚まし」


ええ加減しつこいしな。

迷惑そうなん、雰囲気で察してくれや。


俺、自分で言うのもなんやけど、
幼稚やし、あんまモテへんと思うねん。

やのに、なんなん、この子。

単なるうちの事務所狙いか。


「ごめん、俺、用事あるねん」


「今からですか？」


「うん。
メンバーと会うから」


「へえ。楽しそう。
私も行ってもいいですか？」


「ごめん、それは無理。
メンバーだけでおりたいし」


ともだけと、の間違いやけどな。


この子のせいで、ともからのラインが読まれへんやん。


イライラが顔に出てまうかも。


俺んち、目の前のマンションやしさ、
この子にバレたら面倒臭そうやん。

どうやって巻こうか、考えてたら・・・


「えっ！神山さん？
メンバーと約束って本当だったんだ！」


斉藤さんが、急にはしゃいだ声をあげた。


慌てて、公園内きょろきょろしたら・・・


入口んとこで、
呆然とした顔した、ともが、立ち尽くしてた。


俺のことなんか見てくれへん。

斉藤さんのこと、じっと見つめてる。


「と、・・・神ちゃん！
遅かったやん！」


わざとらしい言うて駆け寄ったら、

斉藤さんもくっついてくる。


「神山さん、初めまして。
今日、飲み会って聞いて。
私も混ぜてもらっていいですか？」


とも、明らかに戸惑ってるやん。


「あ、初めまして。
神山です。
ごめん。
俺、邪魔やんな。
俺の方が遠慮するわ」


やけど、落ち着いた綺麗な声でそう答えた。

ともはいつも冷静やねん。


「先に約束してたん、神ちゃんやん」


「ええねんて。
デートの邪魔したくないし。
俺、今日、疲れてるし」


とも、無理に笑って言うて、
通りでタクシーに手を挙げて、
さっさと乗り込んでまう。


なんでこうなるん？


「神山さんも、そう言ってくれてますし・・・」


斉藤さんが俺の腕に絡みついてきた。


「ええ加減にしてや」


その腕を振り解いて。

次にやって来たタクシーに手を挙げる。


こんなことですれ違いたくない。


ともを泣かせたくないねん・・・

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