何万回だって、「君が好き」２

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男を、神ちゃんを好きでもええんや。


「うん、そやんな」


もう一回、唇に触れた時。


けたたましい、電話の着信音が鳴った。


言わずと知れた、マネージャーさんからや。


「やば！もうこんな時間やん！」


慌ててベッドから、
転がり落ちるように降りたら、

怪我してる足の指、しこたま、ぶつけた。


「ひぃーっ」


あまりの激痛に、
火照ってたカラダは一気に冷却された。

のたうち回ってる俺を、
ベッドの上から神ちゃんが覗き込んで。


「しげ、大丈夫う？」


心配そうに聞いてくれる。


「こんなん大したことないって。
俺、強い子やから」


振り返って見上げて答えたら。


「めっちゃ涙目やで？
昨日泣いてたやん。
痛いぃ、死んじゃううって」


神ちゃんにからかわれた。


「それ誰？
神ちゃん、幻でも見たんちゃう？」


今もめっさ痛いのに、すっとぼけてたら。

神ちゃん、ふっと笑ってさ。


そんで、そんでな！


なんと。


神ちゃんの方から、
ゆっくり顔傾けて。

キスしてくれてんで？


ベッドの神ちゃんのが、
俺より上におるからさ。

優しく覆い被さるように。


胸がきゅんって鳴るいう、表現あるけど、

俺、今、実際体験したで。


神ちゃん、照れたんか、真っ赤っかやねん。


「はよ準備せな、
マネージャーさんに雷落とされるな」


いきなし素っ気なく言うて、

反対側からベッド降りて、
洗面所に行ってしもた。


可愛ええねんから。


現場でみんなにバレへんように気をつけな。


俺、顔に出えへんタイプやと思てたけど、
この頬の緩み具合。

自信なくなってきたわ・・・









たまたまいうか、
成り行きいうか、

きっかけはそんな緩い感じやったけど、

俺の浮かれ具合は、
もう天井超えて、空まで突き抜けてる。


精神的に少し安定したせいか、
仕事にもええ影響出たみたいで、
今日は演出家さんに褒められた。


舞台終わった楽屋で。


「なんか、今日のしげ、明るない？」


「すっかり元気戻ったよな」


「うざ過ぎ」


「まじでな、迷惑なぐらい元気やな」


さっきから、
メンバーがひそひそ話してんの、
聞こえてますけど？


ええねん、ええねん。

勝手に言うといてくれたら。


神ちゃんには、
その会話は聞こえてへんっぼい。

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