何万回だって、「君が好き」２

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このまま、ともんちでご飯食べようやとか、
みんな勝手なこと言い出してるけど。


「ごめん。
今日はともは予定あるねん」


つい言うてもうてた。

みんな、ぽかんとなってる。

あ、みんなの前で名前で呼ぶん、
初めてやったっけ。


「彼女の誕生日やねんから察してくれや。
じゃあ、お疲れさん」


構わずにそう続けて。

まだ、びっくりして呆然としてる、
ともの手を引いて歩き出す。


「大毅、みんなの前であんなん恥ずかしいやん」


「ええやん。
気ぃ回さへんあいつらが悪いねんて」


「明日会う時、ちょっと気まずいやんかあ」


不意に、歩道橋で立ち止まったともにつられて、
俺も足を止める。

夕陽が眩しくて、思わず目を細めた。


さっきまでのご機嫌斜めはどこいったんか。


「大毅、夕陽、綺麗やなあ」


ともは歩道橋にもたれて、
嬉しそうに遠くの空を眺めてる。


「うん。ほんまに綺麗や」


真っ直ぐに前を向いてる、ともを見つめた。


「とも。２５歳の誕生日おめでとう。
束の間の同い年やな」
　

「ありがとお」


「ずっとずっと先の約束するん、
あんまし好きやないねんけどなさ」


「ん？」


「ともとやったら、絶対に叶うって信じてるから。
言うな？」


「うん」


「結婚、しよな。俺ら」


「大毅・・・
そんな、俺でええん？」


「とも以外は有り得へんから。
ともは？違う？」


「俺も大毅以外は無理。
俺も大毅と結婚したいよ」


夕陽に染まったともは、
とてつもなく綺麗で。


愛おしさが溢れて・・・

自然に、唇を寄せてた。


「大毅、外ではあかん言うてるやん」


そんなん言うてるけど、
ともも、なんだかんだ嬉しそうやねん。


「誕生日のケーキ、取りに行こうや！
今日は、しげちゃんスペシャル、
ニラ料理のフルコースやで！」


「大毅、張り切り過ぎやって」


「ともの誕生日やもん。
頑張らな」


「ありがと。
けど、大毅とおれる時間は、
普通の毎日も、
全部、特別やで」


真っ赤っかなって、
そっぽ向いてる、

俺の彼女は、世界一可愛ええ。


「なんて？聞こえへんかった」


「うざい、しげ。聞こえたくせに」


「ほんまやって、もっぺん！もっぺんだけ！」


「知らん。
もう行くで」


「あ、危ないで、急いだら」


ぎゅっと繋いだ指と指。


当たり前の俺らの今日は、
きっと優しい明日へと続いてる。





何万回だって、「君が好き」


終わり。

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