マチノソラ24

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その日の夜


いつまでもこのままじゃいけないと一人家で杏露酒を煽った。



いい感じに飲んでふわふわしてるのにどこか頭は冴えていて、玄関が開く音に立ち上がった






「っおかえりっ！！」



「おわっ、…え？」




前にやられたいと言っていた抱きつきながらお出迎え




「…酔ってんの？」


「えへへ……久々に杏露酒のんじゃったぁ」


「………一人で飲むなっつったろ…」



咎める言葉なのに
頭に手を乗せて微笑んだ言い方はどこか甘い



「自分で新しく買ってきたやつだもん……一緒に飲も？」


「……うん」




ソファで乾杯すれば倫也さんは伺うように口をつける




「…ごめんね……なんか、最近…、」



「………うん」



「もう大丈夫だから」



「…何だったの？」



「……………ん…、」




誤魔化すように目を擦れば



「……ねむい？」



「………だっこする…」




跨って抱きつけば滲んできた涙を押し殺す




背中を優しくぽんぽんされれば苦しくて
もっとぎゅっと抱きついた




「……………」



「……………」



「……………寝ちゃう…？」



「………………………する…」



「…………うん」




顔が見えないように俯いて降りれば
倫也さんは立ち上がって



「ごめん今日めちゃくちゃ汗かいたからシャワーだけ。10分であがる。」



言い残して脱衣所に入っていった背中を見送れば
息を吐いた




…………大丈夫、これでいい




自分に言い聞かせながら、まだ冷静な頭の隅を酔わせたくて残った杏露酒を飲もうとしたらスマホが鳴った





「…………っ、、」




沙優ちゃんからの着信にスマホを持った手が動かない





あれから何度もご飯に誘われていて
でも理由をつけて断っていて




「…………っっ、」




涙が滲みそうでスマホを置こうとしたら





「あっ！」




『………もしもし？』




「…………っ！！」





落としそうになってスライドしてしまったスマホから沙優ちゃんの声が聞こえた。

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