マチノソラ24

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メイクが終わって自分の楽屋で待機していれば、コンコンとノックの音。

　

「はい」


「…いーデスカ？」


「……どうぞ、」



ドアを開けて入ってきた前髪を軽くウェーブされて
カッチリした衣装でカッコよく固められた倫也さんは笑いながら扉を閉めた



「また顔固くなってる」


「そりゃなりますよ…」


「敬語の練習？あ、また俺俳優中村倫也フィルターかかってる？」


「違いますよっ、でもほら誰が聞いてるか…、」


「その警戒心普段からも発揮してもらいたいもんだけどねぇ…」


「……、あの…私に何か御用で…？」


「あはははは！！ひっどいなぁ？ガチガチに緊張しているであろう可愛い恋人を少しでもリラックスさせてあげようとわざわざやって来たのに」


「っ！だからやめてっ！」


「はいはいはいはい」



小声で怒鳴ればまた笑って



「……、」
　

「トイレ大丈夫？多分もー呼ばれると思うけど」


「それは倫也さんじゃないんですか」


「あははは確かに。何か呼ばれると急に行きたくなんだよなぁ」


「………、」




「A。」



呼ばれて顔を上げれば、倫也さんの顔が近づいて



「えっ？っちょ…ッッ！！」
　


ぎゅっ！と目を瞑れば寸前で止まった



「……、え？」



「……ちゅーされると思った？」



商業用に作られた姿で囁くように言われて

無意識に心臓が跳ねた。



「〜〜〜ッッ！！」

　

バンッ！！と腕を叩けば



「あはははは！メイク崩れちゃうからね？あ、ドキッとしちゃった？何か反応新鮮でいいなぁ」


「っ！もう用ないなら出てって下さい！」


「はいはい行きますよ〜続きは夜ね。あ、ほくろのおじさんとご飯行っちゃダメだからね」


「……っ、、」



倫也さんはへらへらしながら出て行って、私は謎のドキ ドキとムカつきで緊張してるんだか何だかわからなくなっていた




コンコン。



………っ、、



「はい…、」



警戒心丸出しで返事すれば



「Aちゃんっ」


「あ、沙優ちゃんっ！来てくれたんだ！」


「えへへ来ちゃった、いい？」


「もちろん！」



思わぬ嬉しい訪問者に笑顔が溢れる



「今日ドキ ドキしてたけど沙優ちゃんに会うのは
すっごく楽しみだったの私！」


「私も！あ、ねぇ今日終わったらご飯行かない？」


「え！行く行くー！！」



コンコン



「瀬野さん沙優さん、そろそろスタンバイお願いしまーす」





丁度声が掛かって、また心臓が鳴り出した

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