マチノソラ23

1233 ページ25

「中村倫也とキスした女優さんみんな落ちるって…」


「……………」


「……………」


「それ悪口……？」


「そうやって片っ端から沼女にしていくずるい男だって、女優さんにもミミックオクトパスで好みの男に変化できるから最強だって、だからっ、、共演した女優好き放題やってるに決まってるだって…っ！！」


「あははははははは！！」


「そんな人じゃないじゃん！！倫也さん似てないモノマネばっかするから女優さん引いてたりするし！役はカッコよくても飲み会で延々と動物の進化論語り出して気づいたら皆いなくなっちゃってたりするし！最初はいいけどこんなドSな変態女優さんは絶対無理だもん！！」


「……何いまディスられてる俺？」


「でも言えなかった〜〜〜〜」


「言わないで。傷つく。」


「うぅ〜〜〜〜〜〜〜っっ、」


「ふふふ…よくわかんねぇけど。ありがと」


「……………っ、」


「じゃあ君が俺のキスで落とされてくれる？」




わざとらしく笑って下から掬うように唇を重ねられて親指で涙を拭かれながらされるキスはあったかい



「……………色んな事…言われて嫌になんない…？」


「ん？まぁ人前に立つ仕事だしねぇある程度は仕方ないよね」


「……………」


「でもさ、昔は出てきても誰だお前ってなってた頃を思い出すとさ、ありがたい事だなぁとも思うよ。それに…ちゃんと見てくれてる人がいる事知ってるから」


「…………」


「でしょ？」



笑った倫也さんは大人だ。私が子供だからそうさせてしまってるのかもしれないけど



「逆に完璧みたいに言われる方がくすぐったいかも。俺全然完璧じゃないし。知ってると思うけど」


「うん」


「俺も皆もただのおんなじ人間でさ、皆不完全だからいいんだと思うんだよね。俺はその不完全な部分がその人のチャームポイントだと思ってるんだよねぇ」


「倫也さんらしい…」


「不器用な子って可愛くない？」




愛しそうに頬を撫でられて




「……私不器用…？」


「いつまで経ってもこーゆーの甘えんの下手だし？」


「……………、」


「でもいーよ。Aはそーなんでしょきっと。」


「……………、」



微笑んでいた倫也さんは手を下ろして
何か考えるみたいな顔で視線を落とした

1234→←1232

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す