マチノソラ23

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玄関のドアを閉めたら、我慢していたものが溢れ出した。


「………っ、」


こんな日に限って倫也さんの帰りは早かったようで、靴がキチンと並べてあった



「おかえり〜」



キッチンから間の抜けた声がして
下を向いて顔を隠しながら靴を脱いだ



「……ただいま」



声を落ち着かせて言って、自室に入ってドアを閉めれば電気もつけずに机に突っ伏した



「……っ、っ、」



声を出したくなくて唇を噛んで耐える



「………A？」



静かにドアが開いて、廊下の明かりが差し込む



「………どした…？」



ゆっくり近づいて頭を撫でる優しさに
もっと声が漏れそうで



「っ、、だい、じょぶ…っ、」



声が上擦らないように抑えて言えば
倫也さんは黙って頭を撫でて



「…………お風呂沸いてるから入っといで」



部屋から出ていった何も聞かない倫也さんにちょっと落ち着いて、素直にお風呂に入った



鏡に映る私は泣き腫らしていてブサイクで
思い出せばシャンプーしながらまた泣いて



脱衣所を出た所でまた部屋に引きこもろうとしたら、
こっち。とソファに連れてかれた



座った倫也さんが私を引き寄せて自分の上に跨らせたら頭を自分の肩に押し付けて、背中と頭をゆっくり撫で始めた



「よしよし…」



「………っっ、、」



ぎゅっと力一杯抱きつけば、また涙が出てきて、
でもぬくもりがあったかい



何も聞かないまま
ゆっくり宥めるようにされればされるほど悔しくて



「…………っごめん……っ、」



「ん？」



「…………っ、、」



「ごめんって？」



「……………っ、」



「……………何かしたの…？」



「…………っ、、」




ぎゅうっと抱きしめれば胸が痛くて



「ちょっとAちゃん、」


「何もしてない……っ、」


「何のごめんよじゃあ」


「……………っ、」


「何。怒らないから言ってみ」


「っ、やだ」


「……………そんなやばい事？」


「だから違う…っ！言わないっ！」


「隠し事しないんじゃなかった？」


「…っ、何か悪い事したわけじゃないもん…っ、」




降りようとすればがっしり掴まれてて



「だめ。泣くなら俺の前にして。」


「……っ、」


「ふふ……変わんないよねそういうとこ。」


「………っ、、」


「…え…まさか乱暴された…とかじゃないよね…？」



心配そうに顔を覗かれて



「ちがうっ、私は何も…っ、何も…出来な、かった……っ、」


「…出来なかった？」

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