マチノソラ21

1154〜倫也side〜 ページ50

ホテルに荷物を置いて街に出れば彼女はキョロキョロ楽しそうで



「今日はのんびりデートしよ」


「うんっ！あ！ねぇあれみたい！」



ぐいっと引っ張られて、初っ端からのんびりさせてくれなそうなハシャギように笑みが溢れた



「これかわい〜〜〜買う！これ何円？」


「2ユーロだね」


「2ユーロって何円？」


「今1ユーロ130円くらい？だから260円くらいかな」


「へぇ〜」



目をキラキラさせながら小物を選ぶ彼女を横で見てるだけで幸せで唇を噛みしめた



「これ須藤にあげようかな」


「……………いる？」


「見てたら元気にならない？」




太陽に爆笑している顔が書いてある磁石。
そのなんとも言えない表情が



「……………確かにじわじわくるな…」


「須藤の家の冷蔵庫に貼ってほしい。あの子普段家で笑ってなさそう」


「あははは、そんなイメージ？」


「うちにも貼る？」


「貼ろ」



目移りの激しい彼女はポストカードやら置物やら
お菓子やら次々手当たり次第に買って



「Aって結構買い物魔？」


「ん？こーゆー時はもう欲しいと思ったら買う！って決めてるの〜」


「へぇ〜」



普段の彼女はそんなに物欲があるようには見えないから意外でちょっと楽しい



「……それ買えば？」



さっきから俺がずっと気にしている動物の置物を見て彼女は呆れたみたいに笑った



「……ふふ…うん」


レジに出せば店主の太ったおばさんが
ニコニコしながら渡してくれた



「あ！あそこスノードーム屋さんある！」


「おーすっげー一杯あるね」


「じゃあさ！お互い相手の印象っぽいの内緒で買って後で見せ合うってどう？」


「面白いね」


「よっしゃ選ぶー！」




数百個以上あるスノードーム。



彼女の印象かぁ…



後ろを見れば真剣な眼差しで、これか？あれか？
と選んでいる横顔。



「あ！見ないでって！」


「はいはい」



こうやって真っ昼間からデートしてる事も

俺の事を考えて選んでくれている時間も

何もかもが愛しくて。


このまま時間が止まればいいなんて柄にもない事を考えていれば、女の子がプレゼント箱をもって上を向いて笑っているスノードームが目に止まった。



逆さまにしてみれば



「わ……」



白色じゃない色とりどりのカラフルなパウダーが
笑顔の上にキラキラと降り注いだ。





「ふふふ……、This, please.」

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