マチノソラ21

1153〜倫也side〜 ページ49

「あ！倫也さん！」


聞き慣れた声に視線を上げれば
小さなスーツケースを引いた彼女が手を振った



「………っ、」



「あれ？倫也さん……だよね？」




屈んだ彼女に帽子の下から覗くように見られて
思わず抱きしめた



「わっ、あはは、久しぶり？」


「っ、中いないから来れなかったかと思った…」


「ごめんトイレ行ってたの。機内で行こうとしたら
丁度ランプついちゃっていけなくて。それで到着してから探してたら親切な人が教えてくれて、トイレ出てからも到着口こっちよって教えてくれたんだけどそれが全然違う所でさ！私の荷物待っても待っても全然来なくて、そりゃ私が乗ってた飛行機の荷物じゃないもんくるわけないよね〜って」


「………体調は？」


「ばっちりでっす！」


「…ふふ…じゃ行こっか」



立ち上がって左手にスーツケースを持って右手を差し出せば、照れながら彼女は手を繋いだ



「ふふふふ…」



「へへへ………」



ぎゅっと握って歩き出せば、目が熱い。



あー…俺、思ってたよりやばい……




「どこ行くの？」


「え？あぁまずホテルに荷物置きに行こ。飯は？」


「食べたーい！」


「ふふ…うん…。…………てか…その服…」


「あ、えへへ気づいた？」


「この間買ったのは？選んでもらったっていってた」


「んー？あれは〜…うん、また今度でいいかなって」



視線を逸らした彼女は、出会った日に俺がプレゼントしたシャツワンピースを着ていて


またそれにじんときて




っ、だめだせっかくのデートで泣いてどうする俺




照れ隠しで繋がれた手をぶんぶん振る彼女が可愛くてもっとぶんぶん大きく振ってやれば、きゃーっ！と
笑って俺も笑った

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