マチノソラ21

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「たっだいまぁ〜」






「……………。」




ほろ酔いで家に帰ればガランとしてて。




「……まだあと2週間かぁ…」




海外デートしよと言われたのはだいぶ前


3週間の中に休みは多少あるみたいだけど、共演者やらスタッフと出かけたりもあるし、小さい町だから
どこで会うかわからないし、皆が帰った後に休みをもらって2日過ごすことになった。


こんな忙しいのに丸2日もよくもらえたねと聞けば
曖昧な返事をされたけど、行く前のスケジュールを
見るに多分そうとう我儘言ったんじゃないかと思う



「あ」



ポケットのスマホが揺れた



「もっしも〜し」


「もしもし」


「ふふっこんばんは〜っ」


「そっち夜だもんね」


「そっちは？」


「遅い昼休憩中」



そう、約8時間の時差があるから地方ロケの時みたいに夜にゆっくり電話とかは出来なくて



「何食べたの？」


「今日はね、分厚いピザみたいなやつ。名前なんだったかな」


「いいなぁ〜」


「A飲んでんの？」


「須藤と飲んできたっ！須藤今いい感じの子いるんだって〜」


「そうなんだ」



電話越しに聞く声でも、やっぱり安心する



「それでねっ？今回は〜」


「あ、ごめん呼ばれちゃったまた後で写真送っとく」


「…うんわかった、またね」


「ん、おやすみ」


「おやすみ、いってらっしゃい」



合間合間に仕事と寝ている時間を避けて電話をくれるものの、こんな途切れ途切れの会話しかできない。


そのズレた時間が会えない距離を実感させる。




「……今世界から飛行機がなくなったらどのくらいで会えるんだろ……歩いたら何年かかるのかな…」



頭の中では天変地異が起こって飛行機も船も電車も車も全部使えなくなって、たまたま旅行に行っていた
恋人と再び巡り会うまでのストーリーが駆け巡る



「おぉ…書けそう…」



ほろ酔いのまま自室に座ればパソコンをつけた

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