マチノソラ17

891 ページ20

「A」


薄暗い中、目を開ければ


「おはよ、」


「…あれ……」


「ずっと寝てたの？もう夜だよ」


「ん………」


身体を起こせば外は真っ暗で
久々にゆっくり寝た気がしてすっきりしていた


「お腹すいたでしょ、なんか簡単に作るね」





寝室を出ればエプロンをした倫也さんが冷蔵庫を開けていて


「あ。」


「ん………？」


「ちょっと、行ってくる。」


「え？どこに？」


「スーパー。まだやってるよね」


「もう暗いから今日は冷蔵庫にあるもんで…」


「しいたけないもん。」


「……………」


「行ってくる。」



財布を持って歩き出せば、腕を掴まれて



「何。」


「……………、、ごめんなさい」


「………」


「……食べたくないです。」


「何でもするって言った。」


「Aのご褒美になることならするけど」


「しいたけもご褒美です」


「なんでよ」


「倫也さんの泣きそうな顔が見れるご褒美」


「……………」


「ご褒美。」


「……………演技でやります。」


「は？」


「しいたけ食べさせられて泣く演技でどうでしょう」


「意味ないじゃんそれ」


「忠実に再現できると思います」


「見たことないのに忠実もなにもわかんないじゃん。買ってくる。」


「…俺悪いことしたわけじゃないじゃん、騙しはしたけど、むしろ痛いのなくなって良かったでしょ？」


「……………そうだけど…」


「とりあえず食べよ？またお腹すいて倒れられたら困るし」



なんだか丸め込まれた気はするけど
あれから何も食べていないお腹はぐーぐーうるさい

892→←890

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す