マチノソラ16

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もういいよって言ったのは自分なのに
モヤモヤとしたものが絡まって

わざとじゃないのも、倫也さんが見てくれてるのは私な事もわかるのに、わかるから、水に流さなきゃって思うのに



「なんで見れないのかなぁ…」



最近倫也さんの顔をちゃんと見れていない。


それをわかってか、倫也さんはキスもえっちもしてこない。


いや、最初はしようとしてたのを、私が毎回スルリとかわしていたら来なくなった。

その代わりに寝る時には必ず後ろから抱きしめられていて。


それを拒否したら本当にダメになりそうで
されるがままに抱きしめられていて


謝るような優しい締め付けが、余計に苦しくて
だけど抱きしめ返せないのは何でだかわからない



謝られたし、もう二度としないって言われた。


これ以上してもらう事はない。


なのに、気持ちだけが前に進めない。



またえっちでもしたら仲直りするのかな
なんて思うけど、そんな気にもなれなくて


私の時はあっさり許してくれたのに


まぁ、あの時はほっぺだったけど………



キツくあたりたくもないし、かといって優しく笑える気もしなくて、そんな風にしていたら家に帰るのも自然と遅くなって、最近は一人でフラフラ飲んでいる。



「このままじゃ、ダメだよなぁ…」



終電が近づいて居酒屋をでた。







.









玄関を開ければ、キチンと並べてある靴。



「……………おかえり」



明かりのついたリビングから覗くその顔は自信なげで


前までなら遅くなる時は連絡して、とか迎えに行く
とか日本酒飲んでねぇだろうな？とか色々言ってきたのに、今は何も言われない



「…ただいま」



そのまま脱衣所に入れば
何か言いたそうな倫也さんはそのまま寝室に入った


私が帰ってくるの待ってたのか……

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