マチノソラ16

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残ったビールを抱えて走って出口に向かえば
菅田くんと入口で鉢合わせした


「おっ！びっくりした、どしたんそんな急いで？ビールまだあった？」


「…………っ！」



菅田くんにビールをぐいっと押しつけてまた走れば、階段を降りて、なるべく人のいない場所に行きたくて




皆がバーベキューしているベランダの下部分の真っ暗な場所を見つけて膝を抱えた





下についてハァハァと息を切らせていれば
菅田くんが後からやってきた


「っちょっどしたんっ？はぁっ、急に走るからっ…」






「ーーーAちゃん見ませんでしたっ！？」




「……………っ！！」



上から倫也さんの息が切れた声がして
無意識に口に手をあて息を殺す



「あれ？さっき菅田が探し行ってたと思いますけど」


「そう……ですかっ………」



走り去る音が聞こえて


それでもまだドキドキとうるさい心臓に
今度はポケットのスマホが震えてまた肩がはねる


「………Aさん…？」


長い長い着信はそのままほっておけば切れて、
今度は隣にいる菅田くんのスマホが揺れた



「……………っ！」



菅田くんの顔を見れば、揺れるスマホを一瞥してから私を見て、ポケットにしまった



「……………何があったん…？」


「……………、、」


「倫也さんと何かあったん？」


「……………、、」



何も言えず下を向けば
上で話している人の大きな話し声がまた聞こえる



「……そういえば中村さん達ヨリ戻したんですか？」


「え？ヨリ？」


「今日来てるから、繭ちゃん」


「え？中村さんて繭さんと付き合ってたんですか？」


「知らない？何年前だっけな、ほらあのドラマで共演した時に」




あぁ、だからか。


喋り方が、他の人と違うと思ったのは。




「……………菅田くん…知ってたの」


「……………付き合ってたのは。でも今日来るメンバーには入ってなかったはずなんやけど………ごめん、わかってたら倫也さんもAさんも誘わなかったんやけど…」


「っ、…ううん、、大丈夫………」


「……大丈夫ちゃうやん。」



涙が、止まらなくて、



「何があったん？」


「……………っ、、」


「……………場所移動する？」



菅田くんの優しい提案に甘えて
そのままこっそり二人で抜け出した

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