マチノソラ15

772〜倫也side〜 ページ10

ワンプレートにはまんまるに盛ったご飯に星型のにんじんグラッセ、ポテトサラダには真っ赤なミニトマト、ハンバーグの上には国旗が刺さっている。


三人で囲む食卓はまるで家族のようで、
龍之介の隣でコーンスープを取り分けるAは、お母さんになったらこんな感じなのかなぁなんて想像してしまう


「「「いただきます」」」


合わせた小さな手には小さなフォーク


「おれニンジン嫌い。」

「えーそっかぁ…でもこれ甘いよ？」

「嫌い。」


わかる、俺も野菜食べなかったからなぁ


「味が嫌いなの？」

「食べた事ない。」

「え？食べたことないのに何で嫌いなの？」

「匂いとか」

「これ匂いする？」


星型のグラッセをフォークに刺して近づけるA


「……ちょっと……」


「じゃあさ、ドリアンって知ってる？」


「…どりあん？」


ドリアン？？


「ドリアンってね、めちゃくちゃ臭い果物なんだけど食べてみたい？」

「臭いなら食べないよ」

「でもね、すごい臭いのに果物の王様って言われてるんだって。」

「臭いのに？」

「そう！てことはさ！匂いはすごくてもそれをひっくり返すくらい味はすごいって事だと思わない！？」

「……………うん」

「て事はニンジンも？」

「……………、、じゃあ…一個、だけ…。」


すげ、説得しちゃった。


あーんと口をあけてもぐもぐと不審そうに食べていた龍之介は、そのままごっくんと飲み込んだ。


「どう？」

「……………おいしい…」

「お〜〜！！本当！？やった！やったじゃん龍之介！ニンジン食べれるようになったじゃんカッコいい〜〜！！」


龍之介は照れた顔を隠すように、プレートにあった
もう一つの星を口に運んだ


「よっ！なんでも食べれる龍之介っ！おっとな〜！」

「ふふふふふ………」

「ね！ニンジン食べれたのすごいよね倫也さん！」

「ん？そうだね、えらいえらい」

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