マチノソラ15

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かしゃかしゃとボールの中で白い液体が少しずつ形づいていく


「………見てて楽しい？」


「腕のスジが綺麗。」


「どこ見てんのよ」


倫也さんがエプロンをしてキッチンでケーキを作るのを、椅子に座ってボーっと眺めるだけの私


ホワイトデー俺も手作りしよっかなぁと言い出した
倫也さんは、私が作った生チョコケーキより本格的なケーキを作るようで


「器用だよねー」


「好きなだけだよ」


「そしてやるってなったら凝るよね」


「どうせなら美味しいの食べたいじゃん。でも腕疲れてきたー」


「電動ミキサー買う？」


「年に何回使うかだな」


「確かに……」



チン、となればオーブンからはいい匂い



「美味しそ〜！」


「おーちゃんと膨らんだ」


「これどうするの？」


「逆さまにして萎まないようにしとくみたい。」



ミトンでオーブンから出せば甘い匂いが香る



「美味しそー…」



じーっと見つめる私に倫也さんは上部分をちょこっと千切って私の口に入れた


「ん！ふわっふわー！美味しい！大好き！」


「あははは、餌付けしてる気分になるな。ん、美味しいじゃん」


二つ小さな穴が空いたシフォンケーキを逆さまにすれば、倫也さんは再び泡立てを始める


「ねぇ海行くって言ってたけどさ、倫也さん休みとれるの？」


「多分。今頑張るから今年は夏休みくれって言った。強めに言った。」


「ふふふ…そうなんだ」


「スケジュールでたら早めに言うね」


「有給とりまっす！」



それから、ちょっと交代して〜〜〜と甘えられて交互に生クリームを泡立てれば、ツンと角が立ち上がる甘いクリームが出来上がる



生クリームをしぼりに入れればシフォンケーキを
型から出してのデコレーション


「イチゴも挟むの？本格的だね〜」


シフォンケーキを真ん中で半分に切って、生クリームとスライスしたイチゴをのせて、切ったシフォンケーキで蓋をすればその上にまた生クリームを塗っていく


「倫也さんて何でもできるよね…」


綺麗に作られていくケーキを見て感心していれば、
あっという間に出来上がる


「完成〜！」


「いぇーいっ！」


生クリームを絞って出来上がったのはお店で買ったやつ！とまではいかないものの、初めて作ったとは思えない出来で


「パティシエ役もできるかもね？」


「あははは、食べよっか」

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