マチノソラ9

488 ページ49

「仕事は？変わりない？」

「うん。そっちは？」

「大変だけどみんな仲良いし楽しいよ。まだ半分くらいだけど」

「半分か…………」

「もうちょっと我慢できる？」

「……………」

「ふはははは、素直なAすきだよ」

「素直じゃないのは？」

「すき。」

「なにそれ」


倫也さんはグイッと残りを飲み干してそろそろ入ろ？と中へ入った


「一杯じゃ顔変わんなくなったねぇ」

「えっへん！」

「あはははは威張る所かよ酒飲み」

「もう一杯のむー！杏露酒ないの？」

「あー…あるけど…」

「けど？」

「飲み過ぎないでよ？」



その前にご飯。ということで、白飯なしのお摘みご飯を二人で作る。

ササミ焼きに梅を乗せたものと餃子の皮のミニピザ、もろきゅうにナス焼きとサーモンのカルパッチョ、
冷凍の枝豆を解凍させればミニ居酒屋のよう


ローテーブルに全部並べてチェイサー用の水を置けば大好きな杏露酒で乾杯する


「甘い〜美味い〜〜！ねぇこれいつもどこから出してるの？」

「秘密。」

「信用ないなぁ」

「教えたら一人で飲み干しちゃうでしょ」

「飲み干しは……しないと思う………」


カランと傾けたグラスから見られて
ぐいっと飲めば、手酌で入れる


「薄めなさい。」

「わかってるってー」


チェイサーの水を心ばかりいれれば、トポポポポと
倫也さんに傾けられた


「あっ！入れすぎ！！」

「はい。」

「えー」


かなり薄まった甘いお酒はもっと飲みやすくなって
水みたいだ

お摘みを頬張って、美味しいねと笑って、たわいない話をして、すぐ隣にある顔を見れば愛しくて、寂しさが埋められて温かくなる


「そろそろシャワー入んなくていいの？」

「あとで入る〜」

「いまからもっと酔っぱらうのに？」

「あー………」

「先入ってくれば。シャワー無しで抱いてもいいならいいけど。」

「……………っ、、」


頬杖をついた顔はもう夜の顔になっている


「……………行ってきます………、、」


「ん。」






シャワーで温まれば少し酔いが回って、上がるころには良い気分になっていた


「おかえり。俺も入ってくる。」

「んー」

「俺がいない間に飲み過ぎんなよ？」

「はーい」


ローテーブルに置かれた杏露酒をグラスに注げば、
キレイな色が透き通る



「ふふふ………」

489→←487

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す