455 ページ18
ソファに座らされて、口にはバナナを突っ込まれて、右手には薬を塗られている
「…………」
「…………」
「痛っ……、」
赤くただれた場所がズキリとして身体を揺らせば、
ギロリと上目遣いで睨まれた表情はいつかテレビで見た気がする
ガーゼと包帯で止められれば、ドラッグストアのロゴの入ったビニール袋をゴミ箱へ、余った包帯や薬を救急箱代わりにしている可愛いペンギンのボックスに入れてパタンと閉められた。
無言で立ち上がった倫也さんはボックスを片付けて、今度はなにやら違うものを持ってきた。
「手。」
一文字言われて再び右手を伸ばせば、サランラップで上からグルグル巻かれて、その上からビニール袋を被せられてテープで止められた。
「………?」
何だこれ?
「シャワー入るんでしょ。」
あぁ…なるほど…
2本目のバナナを食べ終えれば、胃は通常運転を始めたようだ
キャップの外されたスポーツドリンクを渡されて左手で飲めば、バナナで詰まった喉がスッキリした
なんだか強い装備をされた気分の右手をぶんぶん振りながら脱衣所へ来れば、倫也さんもついてきた
確かに、シャンプーもシャワーも片手だと限界がある
特に流す時なんかはシャワーを当てながらガシャガシャやらないといけないから片手じゃ無理だし、シャワーを固定させればいいかといえば、自分がくるくる回らなければならないため、熱が38度もある人間にはなかなか辛い。
「目瞑って。」
服を着たままの倫也さんにされるがまま入れられて、いつもだったらこのままえっちに流れる雰囲気なはずの二人の風呂場は、今日は完全に介護状態だ。
身体を丁寧に拭かれて着替えまでさせられれば、今度はまるで子供にでもなったようで、いいパパになりそうだなぁなんて思った。
ドライヤーの温風が心地良くてうとうとする
風が止まれば、眠たくなった
「……ありがとう…」
「俺怒ってるからね。」
「………、、」
初めて、言われたかも…
ドライヤーを片付けた倫也さんはスポーツドリンクを持ってきて渡した
素直に飲めば、今度は歯ブラシを渡されて至れり尽くせりだ
終われば寝室の扉を開けられて、ベッドに潜り込めば布団をかけられて、そのまま去っていく背中が
「倫也っ!……、、さん…」
「…………」
振り向いた顔は、まだ怒ってる
「……ごめん…、、」
「……………聞き飽きた。」
パタン。
扉が、冷たく閉まった。
717人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
南季(プロフ) - Maiさん» Maiさんありがとうございます!待ち遠しく感じてもらえるなんて書きがいがあります♪これからも自由に楽しんでいって下さいね♪ (2020年8月15日 6時) (レス) id: 200414e1ac (このIDを非表示/違反報告)
Mai(プロフ) - もう毎日の通知が待ち遠しいくて、。何回も更新されてないかな?って確認しちゃうくらい大好きです。 (2020年8月15日 3時) (レス) id: b44bd7ea81 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - nettuさん» すみませんはしゃぎすぎました笑 どっちの展開へ転がすか迷ってますが、首を長くして待っていて下さい♪ (2020年8月13日 23時) (レス) id: 200414e1ac (このIDを非表示/違反報告)
nettu(プロフ) - えええいやいや私がみたいなぁって思って‥‥笑 このお話の2人の関係性から面白そうになりそうだなぁってリクエストさせてもらいました!全然いつまでも待ってます!ありがとうございます!! (2020年8月13日 22時) (レス) id: a4fbde7211 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - くらげさん» ありがとうございます♪夜の楽しみにして頂けて嬉しいです♪際どい話もありますが笑 自由に楽しんでいって下さい♪ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 200414e1ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:南季 | 作成日時:2020年8月4日 22時