マチノソラ5

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「須藤は大事なの。私にとって。めちゃくちゃ。それだけ。」


「……………」


「ねぇトマトあったっけ」


「……………」


「倫也さん？」


「………ねぇ、俺はどうしてお母さんじゃないの？」


「しつこいなぁ」

　



ふとみれば、冷蔵庫の野菜室を開ける顔はなんだか寂しそうで、つい。









「…………だってお母さんには………、
　 ………ドキ ドキしないじゃん……」









「……………」





「もういい？」




「………………………ちょっとキタ…。」



「はいはい」



恥ずかしくて隠すようにあしらえば



「……………抱きしめていい？」



「トマト貸して。」



構わずに後ろからぎゅうっと抱きしめられて、肩におでこをくっつけられる。



「…………………………ベッドいく？」



「は？なんでそうなるの。やだよ揚げたて食べたい。てか、え！？もう当たってるし当てないで！」


「包丁あぶないから置いて。襲えない」


「だからいつも何でそうなるの〜意味わかんない〜」


「じゃあ食べながらしよ？」


「どんなプレイだ！もっ、あっ！」


「危ないって。」



右手で揺れる包丁を優しく奪われて切りかけのトンカツの横に置かれる



「倫也さん！」


ひょいっとお姫様だっこされてすぐ横の寝室に入る


「トンカツ！揚げたてのトンカツ！！」


「ふふふ、相変わらず甘い空気にさせてくんないね」


「勝手にそっちにもってってるの倫也さんでしょ！？もう意味わかんないとこで火つけるのやめてよご飯食べよ？」


「ごめん、…でも今は胸が辛い」



ゆっくりベッドに下ろされる



「…なにそれ……」


「…………………………きゅんてした。」


「……………」


「ごめんね？トンカツは後でもっかい揚げなおそ？」


「……………ずるい」


切なそうな笑顔に負けて抵抗をやめた

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