マチノソラ5

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「Aは謝ったの？」


「……………」


「悪いと思ってないんだ？」


うわ、刺さった。いまの。

倫也さんにも責められているようでフォークを置いた


「…………ごめん……。」


「え？何で俺に謝んの？」


「えっ？あ、いや…………」


つい出てしまった謝罪を繕うようにお茶を飲んだ


「…………なにしたのよ。」


「なにも……………」


「須藤くん怒るって相当なことしたんでしょ？なんか危ないことでもした？」


「……………」


「……………、、なに。」


不安気な顔をした倫也さんが顔を覗き込んだ


「だって、不可抗力っていうか…何もなかったし…」


「……………」


「なんでもないっ、ご馳走様！」


「いやいやいやそこまで言ったんなら言ってよ」


「倫也さんまで怒ったら嫌だもん…」


「……………俺も怒るようなことなの？」


「いや、違うだって何もなかったし…」


「じゃあ話してよ。」


「……、ただ上司の家でみんなで二次会しただけ。」


「…………そんで？」


「……………みんなで、DVDみて…」


「うん。」


「……………途中で、寝ちゃって……その間にみんな帰っちゃって……気付いたら朝で……、それだけ。」


「……………」


「それ聞いたら、須藤が……………怒った。
倫也さんの気持ち、考えろって……」


「……………」


「そりゃ、二人になっちゃったのも朝帰りになっちゃったのも良くないとは思うけど、なにかあったわけじゃないし、わざとじゃないし…、、倫也さん……？」


「…………それさ…。須藤くんに怒られなかったら俺に言ってた？」


「……………、」


「はぁ……。」


ガシガシと頭をかいた倫也さんが、フォークを置いて椅子に深くもたれた


「……………悪い、先風呂入ってくる。」


食べかけの食事をそのままに脱衣所に向かった背中が、怒ってるのか呆れてるのか、両方なのか…………



ぽつんと静まり返ったリビングは広くて、ぺったんこになった紙袋より更に小さくぐちゃぐちゃになっていて苦しくなった。




「………ごめん、今日、帰るね……………。」



脱衣所の扉を隔てて声を掛けても、返事は聞こえてこなかった

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