マチノソラ5

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いつもの週末

今日はちょっとだけ残業した。

一緒に駅まで歩きたくなくて。



「おかえり〜」

「ただいま」


久しぶりに出迎えられる側になってデニムのエプロン姿の笑顔を見れば、チクリと何かが刺した


「お腹空いてる？」

「うん」


鞄を置いて手を洗ったら、着替えの入った紙袋を持って寝室に向かった。

ストックの服やストッキングを畳み直して入れれば、空になった紙袋をぺったんこにして引き出しを閉めた


「……………」


心も、ぺったんこになったみたい…………。


ふいに紙袋を見つめればそんな気持ちになった。


「A？」

「ん？」

「どうかした？」


中々戻ってこない私を見に寝室を覗きにきた倫也さんが入口から声をかけた


「ううん、服入れてただけ。」


ダイニングに向かい合わせに座って手を合わせれば、今日はパスタらしい。


「ん、美味しい。」

「よかった。」


「……………」

「……………なんかあった？」

「え？」

「沈んでるから。」

「……………」

「仕事？」

「……………大丈夫。」


「………。Aって一人で解決しようとするタイプだよね」

「……………そうかも」

「甘えんのとか頼んの苦手でしょ。」

「……………かも……」

「まぁ無理には聞かないけど」

「……………」


「いつも横には居るから。寄り掛かりたくなったらいつでもどうぞ」

「……………っ、」



「あれーやっぱAが作ったのとなんか違うなこのアサリコンソメ………」

「……………倫也さん、」

「ん？」

「……………、、須藤と、喧嘩した……。」

「……………うん」

「喧嘩っていうか……、怒らせちゃったみたいで…」

「須藤くんがそんななるのあまり想像できないけど」

「私も初めてで……………。」


「なにしたの？」

「……………、」

「ん？」



言っていいのか、だめなのか、正解がわからない



「…………とにかく、なんか、気まずくて。」


喧嘩したって仕事は仕事。毎日顔合わせるし話さなきゃいけないこともある。
お互いそこはしっかりしてるから、仕事に支障はでてないし、普通に会話もする。


でも、前みたいな冗談を言い合うような感じはなくなってしまった。

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