マチノソラ5

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「A、起きて。」


「…んー……」


「会社行かないの？」


「………なんじ………」


「8時5分。」


「ん…まだ大丈……………」



パチン。



「8時！？」


「5分。あ、6分になった。」


ガバッと起き上がって時計をみれば、紛れもないその時間にサーッと血の気が引く。


「わぁあああ！嘘！なんでっ！？アラームはっ！？」


「鳴ってたかなぁ」


「やばいやばいやばいやばいやばい……！！」


ベッドから飛び降りれば洗面所へ走る


「がんばれー」


呑気にコーヒーを飲みながら応援を送る声が恨めしいけど今は文句を言ってる暇もない


「いまなんじ！？」


「13分」


歯磨きと着替えを終えてメイクメイクと鞄を漁れば、チャリンと鳴った影が立った。



「送るよ？メイク、中ですれば？」



「……………………………………マジ？」







神のような提案に飛び乗れば、
後部座席に座った途端エンジン音がかかった


「車まだ返しとかないでよかったね」


「本当に助かる！会社の場所わかる？」


「あの大通りのとこだよね？任しといて。」


「お願いします！」


メイクポーチをあけて、下地を塗った。









.









「着いたよー」


「ありがとう！！」


揺れる車内でのメイクは中々にうまくいかず、丁度
仕上げのチークを塗り終えたところで声をかけられた


「いってらっしゃい」


「うん！」


時計はギリギリセーフの時間！車を降りれば







「…………ん……………？、、どこ………？」









目の前には全く見覚えのない景色。








「倫也さん、ここ……………」


「じゃああとよろしく。」


「確かに受け取りました。」


「え？」


振り向けば、スーツ姿の須藤に二の腕をしっかり掴まれていた


「なにこれ………？え？ここどこ？」


「どこでしょう」


辺りをみれば、すぐ横に……………


「………まさ、か……………」


車の中からニコッと笑った倫也さんの顔に
全てを察する。


「………っ！！嫌だ！嫌だ嫌だってば！嘘だ！！！
グル！？本当にグルじゃん！！」


「あははは、Aがんばってね。」


帽子の下で笑った倫也さんが車の窓を閉めれば、あとで報告しまーすと須藤が敬礼した。


「最低！騙すなんて！」


「Aさんのためですよー」


「離してってば絶対やだ！」


「はいはいはいはい、いいから大人しく歩いて下さい往生際悪いですよ」


「引っ張らないでって須藤！」

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