空の街

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鍋川さんが、ん？と首を傾げた。


「鍋川さんが泉に落ちたんですよ」

「泉？」

「それで女神と出てきたら、営業課の鍋川さんと営業課の鍋川さんと営業課の鍋川さんの三択で。すみません営業課の鍋川さんでした」

「何の話？」

「ほら夢って深層心理って言うじゃないですか。なので多分私にとってはずっと営業課の鍋川さんで、それ以上にも以下にもならないというかそこまで仲良くならなくても大丈夫みたいなので、また仕事でよろしくお願いします！」

「……」

「あの鍋川さん…？え？」


鍋川さんは無言で去って行って


「伝わ…った…？」


殺した声が聞こえて後ろを向けば
須藤が背中で肩を揺らしていた


「須藤？」

「っっ、ひっでぇ…」

「え、酷かった？、」

「つーかなんすかその三択。三択ってか一択じゃん」

「そうなの三人いたのに一択しかなかったの！須藤は
ちゃんと三択だったのになぁ」

「俺も落ちたんすか」

「ピュアな後輩須藤と口の悪い生意気須藤と優しい大人な須藤、貴方が落としたのはどの須藤ですか？って」

「ふぅん…。どれ選んだの？」

「えっとね…っていうか…ごめん昨日私…、」

「別に俺に謝るような事してないでしょ」

「じゃあ…土井くんとの焼肉中断させて？」

「あの後戻りましたー。つーかもう土井マジあいつと
焼肉絶対行かねぇ」

「何で？」

「二人でいくらいったと思います？人の金だと思って…」

「おごり？土井くん誕生日だったの？」

「違いますけど…まぁ色々あって」

「ふぅん？あ！そうだあのさ金曜の夜…は用事あるって言ってたか」

「…暇っす」

「え？でも土井くんに…」

「あいつのは大丈夫」

「でも何か困ってなかった？」

「……合コンだから。たまに人数合わせで土井にどうしてもって頼まれてて」

「ふぅん？じゃ最近彼女いた時もあったんだ？」

「ないっすよ」

「デートくらいしたでしょ？」

「してない」

「連絡先聞かれないの？」

「スマホ持ってかないんで」

「……何それ」

「だから人数合わせなんで。スマホ持ってないって言ったら連絡先教えなくていいし。めっちゃ態度悪いからそもそも滅多に聞かれないし」

「それ行く意味あるの？」

「俺が嫌な奴やると土井に女の子行くんすよ。でももう数合わせでも行かないんで」

「ふぅん？普通にしてたらモテるのにね〜」

「俺がモテたいのは一人だけです」

「……、」


金曜何…？と覗かれた上目遣いが不覚にも可愛くて、
ちょっとだけドキッとした

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