人面犬 ページ3
(間違いない!! アイツや!!)
男はその子供に追いつこうと必死に走る。
そして、前を歩く子供に向かって叫んだ。
男「止まれ!! お前、顔のない子供やろ!」
そう言いうと、子供は足をピタリと止める。
男「やっぱり!! よくも俺をこんな目に合わせやがって!」
男は子供に噛み付こうとした。
だが、子供は何故か首を横に振った。
？「人違いだ。」
男「えっ？」
男はその声が少年である事に気づき、あわてて立ち止まった。
フ−ドの奥を見ると、白い肌に、大きな澄んだ目とシュッととうった鼻筋、そして薄く綺麗な唇が見える。
月明かりに照らされた少年の服は、黒ではなかった。
フ−ドの付いた赤い服を着ていたのだ。
男「そんな……」
男は人違いだったことに気づき、思わず動揺した。
そんな男を少年はじっと見つめる。
？「顔のない子供に呪いをかけられたのか？」
男「どうしてそれを！」
男が叫ぶと、少年はしゃがみ込み、男と同じ目線で口を開いた。
？「そんな姿をした人間はいないだろ？」
男の顔は地面から、30cmほどの高さにあった。
寝転んでるわけでも、這いつくばっている訳でもない。
男の身体は『犬』そのものだ。
男はなんと、『人面犬』になってしまっていたのだ。
？「あいつは酷いな。 人を人面犬にするとは……」
ｼﾞﾝ「あいつ？ 君は顔のない子供を知ってるんか？」
男が尋ねると、少年は小さく頷いた。
？「僕は顔のない子供を追ってる。 子供は少女だ。
名前はヒミツ。」
ｼﾞﾝ「ヒミツ…それがあの子の。っていうか、あの子は今どこにおるんや!」
男の質問に、少年は「それは分からない」と答えた。
？「ここにいると聞いて、来たんだが、もうどこかへ行ってしまったみたいだ。」
ｼﾞﾝ「どこかへ行ってしまった？ なんで分かるんや？」
？「気配だよ。もし近くに入れば分かる。この街にはもうヒミツの呪いしか残っていない。」
ｼﾞﾝ「それって……」
男はヒミツに襲われたときのことを思い出した。
ﾋﾐ「さぁ、あなたもなりましょ。私みたいな『怖い存在』に一」
ｼﾞﾝ「だ、だけど、なんでや？ なんで俺が呪われなあかんのや？」
？「それは知らないよ。」
ｼﾞﾝ「知らないって、そんな!!」
？「ただ、呪いをかける相手は誰でもいいってわけじゃない。 もしかすると、キミはヒミツを怒らせたのかもしれないね。」
その言葉に男はハッとした。
ｼﾞﾝ「そうか、そういうことか…」
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作者名：MOMON | 作成日時：2024年3月24日 10時
