浪速漢組の青春物語 (ページ12)

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、

浪速西高は入学式の日の午後から始業式らしいのだが
新年度に新任教師がこうへん限り
在校生の始業式がない、という変わったところで

今年は始業式がなく、
初っ端から授業を受けることになった。

転校初日だしなあ

気合いいれて早めに行くか、

と前髪を編み込んで
肩にかかるほどの髪の毛をくるくると丁寧にコテで巻いた。

「占領すんなやー」

起きたてのボサボサ頭でやってきた成人男子が
私の後ろであくびをする。

『龍太が寝てるからやろ』

鏡ごしに目を合わせながら
手を止めずに会話をする。

「はー昔は
りゅう兄ーって可愛く後ろくっついてたのに」

わざとらしいため息とともに
無理矢理私の前に入り込んで蛇口から水を出し
顔を洗い始めるから

仕方なく少しだけ後ろに下がる。

『今もくっついてるから
こうやって大阪きたやん』

「ほんまなんで俺が2LDKに引っ越さなあかんねん」

濡れた顔をタオルで拭きながら
今更、文句を言う。

『私も普通の高校生活送って
普通の女子として
大学に行くのが夢やねん』

「その夢言われたら
俺らのせいでもあるから
なんも言えへんわ」

やからって気合いいれすぎちゃうー？

と私を茶化しながら
朝ごはんの準備のために
私の兄、龍太はキッチンへと向かった。