Osmanthus (ページ5)

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クリスマスの前週、新幹線に乗って東京へ向かった

旅のお供に欠かせない

箱入りチョコとホットのカフェオレをコンビニで買って

今日の座席、8Aを見つけて座る

窓側が良かったから3列シートの端っこ

2列シートでも良かったんだけど、

知らない人と2人で隣同士はなんか気まずいな～ってだけの理由

各々が席に着き出す中、隣に男の子2人組が座った

これはこれで気まずい感じもしてきたなあ、なんて

どうでもいい事を考えながら外を眺める

「何度ここへ来てたって～

標準語はなんだか慣れへんし～｣

なんてドリカムの替え歌が隣から聞こえてきて

思わず振り向いてしまった

「あ、ごめんなさい笑」

彼も外を眺めていたみたいでバッチリ目が合ってしまった

『いや、こちらこそ』

また窓の方に視線を向けると

「お姉さん、これ良かったら食べてください」

コンビニの袋からガサガサと箱付きのハイチュウを取り出して

そこから1本くれた可愛らしい彼

え、

『1本？！』

え、箱ごと買ったの？！って思ったら

思わず大喜利番組みたいになってしまった

「僕いつも箱ごと買うんすよ～」

だからどうぞって

キラキラした顔で言う、大人買いってやつか

貰っちゃっていいのかな、

『ええ、ありがとう…

あ、じゃあ代わりにこれあげます』

そう言ってさっき買った箱入りチョコをそのまま渡した

「え？！いいんすか？！

いやでもこれ貰ったらお姉さんの分ないやん！」

『大丈夫、ハイチュウ貰ったし』

でも…と言った後、なんだか閃いた顔をした彼は

「じゃあ分けっこしましょ～」

と言いながら箱から取り出したチョコを3個くれた

『いいの？』

「もちろん！時代は分けっこっすよね～」

なんて訳の分からないことを言っている彼が

少し可笑しくて笑ってしまった

『ありがとう』

「え、こちらこそ！」

なんやかんやでお話しながら楽しく新幹線を過ごした

彼は大学4年生で

隣に座っている同い年のお友達と

東京に少し早めの卒業旅行をしに来たらしい

3人でお話してると東京駅に着くのがあっという間だった

『ありがとう、旅行楽しんでね』

「お姉さんも楽しんでください！」

「ありがとうございました！」

名前を聞くの忘れちゃったな～なんて思ったけど

それも旅の醍醐味って感じがして良かった