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＊side you
「待って…何かの間違い、だよね？」
「ごめん。ほんとに、無理になったんや」
「何でよ、好きって言ってくれたのに、」
「ごめん」
謝り倒しで一向に進まない時間になんとか終止符を打ちたくて持ち出した平手という最終兵器は、使うことなく終わった。
悲しみを埋めてくれた筈の彼から最後に貰ったものが悲しみだなんて、皮肉るにも程がある。
そういうシニリズムはほんの一滴で十分だったのに、と志麻さんの胸板を押して駆け出した。
もう息切れが始まったというのに、彼の家からまだ1キロも離れていない。
夕暮れ時のサイレンが鳴り、続々と子供らが帰ろうとする姿が見受けられる。
その濁流に逆らう小石のように棒立ちする私はとりわけ異質で、笑顔で歓談しながら帰路につく中学生を今だけは憎く思った。
無知って、幸せだ。
こんな辛いって知っていたなら恋なんてしなかった。
志麻さんが優しくしてくれるものだから、どこかできっと踏み違えてしまった。
空っぽになった公園のベンチに軽く腰掛けて、どこか哀しげに彩られた空を仰いだ。
いや、哀しげに見えるのは私の涙の所為か。
もうどうしようもないくらいに好きだったんだと今更気付いた。
犯罪でも条例違反でも何でも良いから、愛されたかった。
大人と付き合っているという自己顕示欲なんかじゃない、本当の、本物の恋だった。
恋って、こんな呆気なく虚言みたいに終わるんだね。
その日は散々泣き倒した。
何度もメッセージを送ろうと手が動いた。
今頃、彼女さんと楽しげに過ごしているのだろうか。
私が喘いだあのベッドで、同じように彼女さんを扱うのだろうか。
私との恋は、嘘だったのだろうか。
そんなことばかり考えてしまう自分が嫌いになった。
世間的に見ればこれはハッピーエンドで、上から何番めかの終わり方なんだろう。
そりゃあ、推奨されない恋なんて、少数派なんてこんなものだ。
演劇や小説、映画の中で叶う恋が叶わない。
それは宇宙に行けないことより、数学のテストが20点だったことより辛かった。
幼いころ思い描いたラブストーリーはここで終わりだ。
明日からは、どうしようもなくぼやけたような滲んだような、煤けた日々が訪れる。
涙はその前哨戦だ。
手放すための道具で、割り切るための犠牲で、君へのSOSだ。
宝箱に押し込めるように、私は恋をおしまいにした。
紙芝居をスライドして終えるより、幾分かは情緒ある終わり方になっただろうか。
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした！ありがとうございます…(´；ω；｀) (2019年7月25日 21時) (
レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(；_；) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです！天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます！緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました！ (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します！ (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました！これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
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