15【人殺し】 ページ16
山崎由香。
そんな奴、中学校に居ただろうか
まぁ覚えているわけがないか。だって日向が消したのだから
ファイル3 記憶喪失のフリ
記憶喪失のフリをしようと思う
このままだと殺したことを誰かに言ってしまいそうだ
個性で記憶を消すこともできるけど、そしたら全部消えちゃうから
お母さんもお父さんも私を危ない人間だと思ってる
ヴィランになるかもしれないって思ってる
こんな個性だから
これが全て事実なら
日向とちゃんと向き合って、話し合わなければいけないだろう
緊張で高鳴る俺の鼓動なんて気にも止めず、五月蝿く蝉が唄っていた
「ただいまー！」
帰ってきた子供たちの声が重なる
『…日向...話がある』
「轟くん...？」
施設の外に出て、握っていた日向の手を離した
『本当のことを言ってほしい』
「…？本当のことって...？轟くんどうしちゃったの？」
日向は少しも動揺せず、いつもの不思議そうに人を見るあの瞳で俺を見た
でも、本当は、本当は、それも、今までのことも全部、全部
『…嘘...なんだろ...？』
自分が振り絞った声は思ったよりも掠れていて。
「…なんで、なんでそう思うの...？」
また、うるうると目に涙を溜めて泣きそうな顔
『…スマホのメモ、見た』
「…そっ...か...見たんだ...」
諦めたように、日向は少しだけ俯いて、ぼそりと呟いた
「…私のこと、どうするの？」
『…は...？』
「…私のこと施設の先生に言って、あの人たちのところに戻すの...？」
日向はポロポロと涙を溢した
さっきのように造られたような泣き顔なんかじゃなかった
俺は静かに日向の頬に手を伸ばした
『…日向』
「…っ...やめて...！」
パシッと効果音が付きそうな勢いで手を払われてしまった
「…やめてよ...やめて...優しくなんか......しないで...っ...」
日向は地べたに座り込んで、両手で顔を覆い隠した
『…俺が怖い？』
「…ちが...う...」
俺は日向の隣まで歩いて、しゃがみこみ、日向の背中を撫でた
『…落ち着いたか？』
「…うん...ありがと」
数分日向の背中を撫でていた
その時にはもう日向の瞳に涙はなくなっていて。
「…私の個性ね、人の存在も消せるの」
『…あぁ』
「…でもね、自分自身のことは消せないの」
「皮肉な個性だよね」
「…だからさ...もういいよ」
『…日向...？』
.
.
.
.
「…そろそろ死のうと思ってたんだ」
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ありーむ - けいさん» コメントありがとうございます！ハッピーエンド作りましたので、ぜひご覧ください！ (2018年10月14日 19時) (
レス) id: c3185ae74f (このIDを非表示/違反報告)
けい - なんかとても切ないです…一人で悩んで苦しんで可愛そうです…でもいい作品でした！ハッピーエンド見たいです！ (2018年10月13日 10時) (レス) id: 0d0916fec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありーむ | 作成日時：2018年5月20日 20時
