参入者共 ページ30
ナイフを8方向から振る。やっぱ軽いけど、暗殺教室に参加するならこのナイフにも慣れないとね。
ただこの基礎力の鍛錬に中学生は不満らしく、前原君と磯貝君が烏間先生に挑んでいく。
やっぱり軍上がりだけあって相当な力量だ。そもそものフィジカルスペックが良いから余計に。技術も体も高いレベルだからこそあれだ。
うぅん、お強い。
烏間「では、今日の授業はここまで」
礼をしてわらわらと解散する。
あれ、あそこの赤髪って、赤羽業? 今日復学なのか。アニメにあったっけ?? あるだろうけど。
赤羽「よぅ、渚君。久しぶり」
のらり、くらり。懐かない野良猫のような印象を受ける少年だ。
彼のことはあまり知らない。
同じクラスになった経験もないし、すれ違ったことはあってもちゃんと喋ったことがあるだろうかというほど接点は少ない。
アニメももう全然覚えていないので、彼についての私が持つ情報は名前と容姿、停学の経緯くらいだろう。
それを知ったのは情報通な友人からたまたま聞いただけだが報われない話だったと思う。アニメで見ただけよりも人に聞いた話の方が結構覚えているんだな、と思った。
赤羽「よろしく、せんせー」
殺せん「こちらこそ、楽しい1年にして行きましょう」
赤羽君の手が先生の手を握り、ぐちゃりと潰れた。
なるほど上手いものだ。ポケットに手を入れてたし、不自然にならないように掌を隠してた。
大きく飛び退いた先生に、煽りを入れつつゆっくりと近付く。
あれ、これ、彼が殺せんせーに傷を付けた初めての生徒になるじゃん。へぇ。
赤羽「殺せないから殺せんせーって聞いてたけど。あっれぇ、せんせーひょっとしてチョロい人?」
悪戯小僧だなぁ。
カエデちゃんの問いかけに対する渚君の答えを聞きながら、なるほど、確かに彼のような人物はこの暗殺教室では優等生だろうと納得した。
でも凶器は負ける気しないです。あ、はい、すんません。
次の小テストの時間、赤羽君は殺せんせーを煽り倒して帰って行った。
明日は騒がしいだろうなぁ、主に一席分開けた横が。
1日中失敗しては茶化され続け、放課後に何があったやら。次の日になると少しだけ大人しくなっていた。少しだけ。
1日で終わって良かった。昨日ほんとうるさかったから。
あれからも暗殺して失敗して、授業受けて勉強して、遊んで、散歩して。
いつもの時間が、今日は1人の乱入者によって乱されようとしていた。
127人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mol/L | 作成日時:2022年8月3日 20時