検索窓
今日:4 hit、昨日:16 hit、合計:82,921 hit

ページ3

冬の冷たい海に身が投げ出される。

 あ、鎖あるから落ちる。



 ーーこぽこぽ



 沈む、沈む。


 あーあ、死んじゃうんだ、私。
 もっと生きたかった。したいこといっぱいあったのにな。
 老後まで待っとこうとか言ってらんないよ、馬鹿。



 ーーこぽこぽ



 冷たい、冷たい。


 親孝行も満足に出来なかったや。
 ごめんねお父さん、お母さん。私の代わりにあの女に一発入れといてね。

 ありがとう、愛してる。



 ーーこぽこぽ



 暗い、暗い。


 あぁ、来世があるなら、たくさん好きなことしたい。
 人って、早く死んじゃうんだぁ。後で、なんてないんだぁ。


 苦しい、苦しい。










 ーーこぼっ









 冷たさ、暗さ、苦しさに、意識が飛びかける。

 何かが鮮明に脳裏を駆け巡ったけれど、酸素のない頭では思考が上手く回らない。

桃矢「A!」


 ーーあ、パパの声


 大きな手で掬い上げられ安心感を覚える。

貴方「ゲホッ、ゲホッ」
桃矢「大丈夫や、落ち着いて息しろ」

 咳き込む背をぽんぽんと叩いてくれる掌。
 あったかい。

 息が整い始めると、ゆるゆると落ちてくる瞼。

桃矢「寝てええよ」

 うん、おやすみなさい、パパ。


 ーーあれ?

 ーーパパって、誰?

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mol/L | 作成日時:2022年8月3日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。