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大学も最後の年。
大学最初の年の春に引ったくりから鞄を取り返してあげてから仲良くなった実は大金持ちだったお爺さんから遺産として譲り受けた彼の別荘の中の1つに住み初めて、もう数年だ。
就職もこの近くにする予定だったので、完全にただの一軒家と化したお爺さんの別荘だが、この別荘ちょっと変わっている。
『ただいま〜』
夏休みのバイトは精が出るけど、やっぱり暑さが天敵だ。
とても暑い。
家に帰ってすることはまずエアコンのスイッチを入れること。
見た目こそ古っぽい洋館だけど、中の設備は結構現代的で進んでいる。
荷物を置いて着替えを持ちシャワーを浴びて、ようやくさっぱり、冷凍庫からアイスを取り出す。
『やっぱ夏はアイスだよ』
一人暮らしには広い家だが、この家の場合急に同居生活がスタートするので、寧ろ広くて感謝する面も多い。
アイスの袋を捨てて、パクっと咥える。
ーードガッ
目の前に3人の男が落ちて来た。
あぁまた、いつもの“アレ”だ。
最初に“コレ”=逆トリを経験したのは、この家に引っ越して2ヶ月くらいの夏の日だった。
その2週間くらい前まで浮浪児をしばらく保護していたがそこは置いといて。
最初に来た彼らは所謂漫画の世界の住人。
二次元界にお住まいのキャラクターだった。
皆ご存知『名探偵コナン』の、萩原研二と松田陣平。
警察学校の制服を纏った彼らが唐突に目の前に現れて、お互いめちゃくちゃ混乱してたし慌ててた。
そんな彼らにはきっちりここが異世界、並行世界の類いであること、私にとって彼らの世界は物語の世界だと言うこと、何より彼らや彼らの友人の死亡フラグについて教えた。
共同生活は1ヶ月ちょいだったけど、濃かった。ほんと。
それからと言うものの、結構な頻度で二次元の住人の皆々様がやって来られるようになったのだ。
勿論『名探偵コナン』だけではない。
2度目、3度目と繰り返す内に慣れて、ご近所さんへの誤魔化し設定だった下宿を営んでるって言い訳すら正しきなっちゃって。
今ではなんだか大家の気分。
なんて言うんだっけ、ほらあれ、シェアハウスとかの。
幸い部屋数も多くて困ったことはない。
『ようこそ異世界へ。混乱も警戒も分かるけど、取り敢えずソレは片付けてくれる?』
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swallow(プロフ) - 深夜さん» 想像は無限大!ということにしてます! (2022年8月4日 10時) (レス) id: 9ed30af1dd (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - もしかして英国執事って黒執事のセバスチャン? (2022年7月31日 18時) (レス) @page1 id: 880b7bddc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mol/L | 作成日時:2021年11月21日 16時