【ツイステ】無職になったのでシェアハウスの管理人始めました

▽18:雨と、そして ページ20

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こんなイケメンなお兄さんのミスなら、いくらでも許せるんですが。

金髪童顔のお兄さんは、私のそんな思考は当然知りもせずすっと視線を戻す。



｢え、俺昨日の朝確認したッスよね！？ 誰がやらかしたんスか！？ ……あーー、スズキさんか。ホント、嫌がらせも大概にして欲しいッスわ｣



呆れたように会話しながらも手は止めず、野菜をぽいぽいとカゴに投げ込むイケメンお兄さん。



｢もういいッスよ、 オレが後で帳尻合わせとくんで。ジャックくんは仕事に戻って。 …アー うん、うん。それでOK。 はい、ハーイ｣


電話が終わったのか、スマホの画面をタップする彼を見て私もハッと視線を逸らした。
あ、危ない。ひたすら見つめてるヤバいやつになるとこだった。

慌ててその場から逃げるように立ち去る。




｢ふぅ… あ、雨｣


会計も終えて外へと出れば、しとしとと雨が降っていて
トレイさんの天気予報が当たりを告げていた。

感謝… と心の中で合掌しながら傘を開こうとした…その時だった。


｢うわ、最悪……｣


耳に届くか届かないかくらいの、小さなつぶやき。
多分誰にも聞かせる気はなかったであろうそれは、雨粒と一緒に足元に転がった気がした。


(！さっきのお兄さん…)


ビジネスバックを持っているから、雨の中飛びだす踏ん切りがつかないんだろう。
困ったな… って顔をしながらスマホを見てる。

いや別に助ける義理立てはないんだけど…

さっきの会話から妙に親近感湧いてるんだよな…
ううーーん…。



｢…… あの、｣

｢！ え、｣

｢は、入って、行かれます？｣

｢えっ｣

｢こ、困ってらっしゃるようだったから……｣



大きなブルーグレーの目が、さらに見開かれて零れ落ちそう。ぽかんとした顔に、慌てて言葉を紡いだ。



｢あ、も、もし余計なお世話でしたら、いいんです！！すみませ…｣

｢いいんスか！！？？｣

｢え？？｣



バッと顔を上げるとキラキラした目でこちらを見つめるお兄さん。おおう、い、イケメンだなおい。



｢PC入ってたし困ってたんスよ〜！！え、さっき電話中目合ったおねーさん…ッスよね？｣

｢えっ、あ、はい。たぶん？｣

｢絶対そう。オレ顔覚えるの得意だから｣


シシッ、と笑った顔に絆される私の、なんと単純なことか。
というかその台詞で、何人の女の子を今まで沼に突き落として来たのだろうと考えると、罪深すぎてなぜか泣きそうになった。

童顔イケメンは、罪深い。

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