第四章 願望 ページ5
ー太宰side
「そこの兄ちゃん。」
急に誰かに呼び止められた。
『はい?』
「これ、買っていかない?」
見せられたのは、一つのノート。
黒っぽい赤色が表紙の本。
「いや〜、すいませんねぇ。私本はあまり読まないんですよ。」
「…これは本じゃねぇよ。」
少年は、手招きをすると私の耳に顔を近づけた。
「これは…、未来が分かるんだ。」
「………はい?」
…………詐欺かな?
私は一刻も早く、ここから立ち去ろうとした。
「おい待て、分からず屋の兄ちゃん。
…………これはなァ、正確に言うと自分の思い通りに未来が進むんだ。」
「…………は?」
一瞬だけ歩くのを止めた、私が馬鹿だった。
気づけば後ろには少年は居なく、私の手にはあのノートが握られていた。
「…………填められた。」
……まぁ、使ってみる価値はあるかな。
価値を試すつもりで、丁度見かけた中也の背後に回った。
素早くノートに達筆で書く。
[ 中原中也の頭の上から、カナダらいが落ちてくるだろう。 ]
突然、文字が浮いて中也の方に消えた。
………え?見間違い?
一瞬目を疑ったのは事実だ。
……バコーン
「うォッ!?い"ってェーーー!?!」
音と同時に、中也の頭の上からカナダらいが落ち、クリティカルヒットした。
うずくまって、頭を抑える中也に笑いが込み上げてきた。
………んふふふふふふふふ。
このノートは………本物だ!!
夜、一晩考えた。
このノートにどんな内容を書くか。
………ただ、気づいた時には鉛筆は動いていた。
[ 太宰治を最後まで愛してくれる人が、明日の正午に、目の前に現れるだろう。 ]
書いて、ノートを閉じた。
本当に明日、来てくれれば苦労しないのに……。
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あや(プロフ) - NOANOA(ФωФ)さん» ありがとうございます。 (2019年4月11日 16時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
NOANOA(ФωФ)(プロフ) - 更新頑張ってください!応援してます! (2019年4月10日 23時) (レス) id: aa55d3a65c (このIDを非表示/違反報告)
NOANOA(ФωФ)(プロフ) - もうあやさんのボードに行きましたぁ! (2019年3月27日 23時) (レス) id: aa55d3a65c (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - NOANOA(ФωФ)さん» 貴方のでいいですか?それとも私のですか? (2019年3月27日 23時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
NOANOA(ФωФ)(プロフ) - OK でーす! (2019年3月27日 23時) (レス) id: aa55d3a65c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月あや | 作成日時:2019年2月23日 9時